「今浪さん、それ、うつ病でしたね」 日本ハム、ヤクルトで活躍した今浪隆博がそんな言葉をかけられたのは、11年間のプロ野球生活を終え、半年ほど経った2018年のことだった。 現役時代に甲状腺機能低下症(橋本病)と闘った経験から、医師会で講演をつとめた後、聴講していた精神科の医師から声をかけられた。 「甲状腺の病気の症状とうつ病を間違えるケースは実は多いんですよ」 医師の言葉に、今浪は不思議と胸のつかえが下りるような思いがした。 「ああ、あれってうつ病だったんだな、と。その時初めて納得できる答えにたどり着いた気がします」 体調は回復したが、心は重かった。 今浪は現在、都内でアスリート専門のメンタルコーチとして活動する傍ら、社会人の軟式野球の実業団チーム「GORILLA CLINIC BASEBALL」で監督をつとめている。なぜ元プロ野球選手がメンタルの仕事に興味をもったのか。きっかけは、まさに