人通りがまばらな黒門市場。マスクを着用して歩く人の姿が目立った=2020年3月17日、大阪市中央区、半田尚子撮影 大阪・ミナミの黒門市場は南北に長さ約350メートルある。3月20日の朝、その最南端でカレー専門店「ニューダルニー」を営む吉田清純(72)は開店準備をしながら北側を見渡し、「これだけはっきり車が見えるのは、バブルがはじけたころ以来やね」とつぶやいた。 北側は幹線道路の千日前通に面している。数カ月前なら午前中から食べ歩きの外国人観光客でごった返し、車はまったく見えなかった。吉田の店も8席すべてがいつも埋まり、店の外に行列ができた。「昔のような活気が戻って楽しかった」 東京五輪が開かれた1964年に開店したカレー専門店「ニューダルニー」店主の吉田清純。ビーフカレーの昔懐かしい味を求め、大阪の文化人や芸人もひそかに通う=大阪市中央区、半田尚子撮影 「天下の台所」と呼ばれた大阪。黒門市場