印刷 統合失調症を患った被告が殺人罪に問われた裁判の控訴審で、福岡高裁は18日、一定の責任能力があったと認定した一審、大分地裁の裁判員裁判の判決を破棄し、被告に無罪判決を言い渡した。最高検によると、裁判員裁判の有罪判決を上級審が破棄して全面無罪とする判決は初めて。 同居の母親(当時78)を殺害したとして殺人罪に問われたのは、大分県内の病院に入院中の無職の男性(51)。一審で弁護側は「被告は心神喪失状態で責任能力はなかった」と主張。判決は「心神耗弱状態で、限定的な責任能力があった」との検察側の主張を認め、懲役3年保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役6年)を言い渡していた。 一審判決は動機について、引きこもり生活に対する葛藤や不満が潜在的に蓄積していたことがうかがわれ、「一部は了解可能」と指摘した。犯行前後の行動も「善悪を判断する能力は完全には失われていなかった」と判断した。 続きは朝日新