干禄字書には見慣れない異体字があります。 たとえばこういうものです。 左と真ん中は〈俗〉なのに右の字はなぜか〈通〉とされています。 正字はこれです。 これがなぜしんにょうみたいになっちゃうのでしょう。 ちなみに上の字種の草書はこうなります。 しんにょうのある字の草書を3つあげてみました。 草書ではしんにょうは「L」の形になるのです。 上の異体字は「匚=はこがまえ」や「匸=かくしがまえ」の「L」の部分を草書のしんにょうとまちがえてできた字だと考えられます。 つまり「匚=はこがまえ」や「匸=かくしがまえ」が「一+しんにょう」になってしまうのです。 これは「匠」の異体字の実例です。