スライ・ストーンの半生を綴ったスライ公認の伝記本。日本で出版された初のスライ本ではないでしょうか。序文を書いているのはジョージ・クリントン。短いながらもスライ本人へのインタビューや寄稿があるというのは貴重です。著者は「『暴動』は70年代のアメリカの挫折を…」というような紋切り型のスライ論に対して否定的で、スライの周りでの出来事だけに集中して書いています。バンドメンバーや関係者へのインタビューを中心に構成された、資料的価値の高い一冊です。 スライの波乱の人生を、誕生から最近の復活の裏側までまんべんなく網羅していますが、残念ながら、表舞台から姿を消していた80年代から90年代についての記述はさほど詳しくありません。一般に知られるとおり、ドラッグの所持や使用で逮捕されたり、リハビリ施設への入退院を繰り返していたことが書かれています。ドラッグ漬けのスライに愛想を尽かして、次々と彼の元を去っていった