2011年11月6日のブックマーク (3件)

  • 羊をめぐる冒険/村上春樹(2) - 東京永久観光

    「羊」が何を意味するか。ジンギス汗の名が呼びだされもしているが、モンゴル的な征服権力意志を象徴していると、一応いっていいだろう。(川村二郎「文藝時評」『文藝』1982・9) 「羊」とはいったい何なのか。おそらく村上春樹はそれは結局は何かのメタファーではなくメタファーのためのメタファーだといいたいに違いない。事実、その通りだろう。/だがそれを承知で私としては最後に敢えてこの「羊」の正体を解釈してみたい。村上春樹がこだわりつづけた「羊」とは実は、あの一九六〇年代末期から七〇年代初頭にかけて当時の若い世代をより非現実の彼岸へと押しやった「革命思想」「自己否定」という「観念」ではないだろうか。(川三郎「村上春樹をめぐる解釈」『文学界』1982・10) 羊の世界は「他者性」の象徴である。(井口時男「伝達という出来事」『群像』1983・10) 著者が世代的に少しずつずれている三人の男のなかを〈羊〉に

    羊をめぐる冒険/村上春樹(2) - 東京永久観光
  • 羊をめぐる冒険/村上春樹(1) - 東京永久観光

    何の脈絡もないが、『羊をめぐる冒険』を久々に読み始めた。これが面白くて あっというまにページが過ぎる。ただ「いつ題に入るんだっけ」と思う。「なんだこれ長い前置きだったのか」「あれこれもまた前置だよ」みたいな。 そんなふうに、面白いのと先が気になるのとで、とても中断などできずに読み終えた。「そもそも小説って無理したり苦労したりして読むもんじゃなかったよな」と思い直す。しかしながら、改めて問い出すと、わからない。「羊って何のこと」とか。「鼠はなんで死んだのだ」とか。 今さら解釈を知りたくなってを探した。 行き着いたのが『村上春樹スタディーズ 01』。このシリーズは大勢の文学研究者や文芸批評家の春樹評をたくさん集めており、『01』は初期3部作(風の歌・ピンボール・羊)を主に扱っている。 …しかし「羊って何のこと」「鼠はなんで死んだのだ」といった大衆的な真っ直ぐな問いに真っ直ぐに答える人はいな

    羊をめぐる冒険/村上春樹(1) - 東京永久観光
  • 『さいごの色街 飛田』 - HONZ

    HONZに参加して以来、自分がどのようなを取り上げてきたのか、棚卸しなんぞしてみた。最初のダムはともかく、銀座のインド料理屋、川崎を拠地としていたプロ野球球団、東京スカイツリーと東京タワー、自由が丘のスイーツ。いかん、いかん、エリアが東京近郊に寄り過ぎている。オレは東京ウォーカーか!HONZは全国区の媒体だぞ。 そんなわけで思い切って東京を離れ、遠征へと出かけることにした。遠征に出かけるとなると、ついつい羽目を外したくなるのが、男の性(さが)。そうこうしているうちに辿りついたのが、飛田新地である。と、誰に問い詰められたわけでもないのに弁解してみる。 飛田新地は、大阪市西成区に今なお存在する色街だ。面積は、概ね400メートル四方。北寄りが「青春通り」 「かわい子ちゃん通り」、南寄りが「年増通り」「妖怪通り」「年金通り」などと呼ばれている。碁盤の目の街路に沿って居並ぶ「料亭」の合計は、16

    『さいごの色街 飛田』 - HONZ