ブックマーク / honz.jp (13)

  • 2016年 今年の一冊 HONZメンバーが今年最高の一冊を決める!- HONZ

    決められないのは分かっている。それでもやりたくなってしまうのが、読みの性。 今年も2016年最高の一冊を決めるコーナーがやってきた。 とにもかくにも、今年はノンフィクションの当たり年だったと思う。次々から次へと読み切れないくらいの良書が発売され、積ん読の山を前に呆然と立ち尽くす日を何度迎えたことだろうか。 そんな中、HONZ発で多くのヒット作品を世に知らしめることができたのも嬉しい限りである。それはひとえにHONZというサイトがを売っているのではなく、読書体験を売っているからだと自負している。 メンバー達の連なりも、また一つの読書体験と言えるだろう。今年はメンバー達の2016年最高の一冊を、性格タイプ別に紹介していきたい。 まず最初のページは、自らが今年HONZで紹介したを再びこちらにも持ってきたタイプの人たちだ。良く言えばブレない人たち、悪く言えば普通な人たち。ただし、元々選んでい

    2016年 今年の一冊 HONZメンバーが今年最高の一冊を決める!- HONZ
  • 『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学 - HONZ

    わたしたちは孤独だ。人口が70億を超え、世界中に生息域を広げたとしても、現在の地球上にはホモ属に分類される種はサピエンス、つまり現生人類であるわたしたちだけ。ライオンにはジャガーやトラのように同じヒョウ属に分類される仲間がいるのに、サピエンスは系統樹上で一人ぼっちなのだ。 かつて、人類は孤独ではなかった。そもそも「人類」とはホモ属に分類されるすべての動物を指す言葉であり、人類には多くの種が存在していた。東アフリカに人類が誕生して以来、ヨーロッパ及びアジア西部にホモ・ネアンデルターレンシスが、ジャワ島にホモ・ソロエンシスがいたように、あらゆる場所に多くの種が分布していた。ホモ・エレクトスのようにサピエンスよりも遥かに長い期間にわたって生き延びた種もいた。 なぜ人類の中でサピエンスだけが生き残り、文明を築き上げることができたのか。歴史学者である著者は、人類誕生の瞬間から歴史を振り返ることで、こ

    『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学 - HONZ
  • 『風土記の世界』 - HONZ

    「風土記の世界」というタイトルから、かつての「古事記の世界」(西郷信綱)という名著を連想したが、書も期待を裏切ることなく冒頭から引き込まれてしまった。 風土記とは何か。当初、わが国の史書の構想としては、紀・志・列伝の三部をもつ中国正史(「漢書」など)をお手とした「日書」がもくろまれていた。紀や列伝は国家の縦軸となる時間を保証するものであり、志は横軸として広がる空間(版図)を切り取るものだった。風土記撰録の命令は「志」の準備のために出されたのだ。 ところが成立したのは「紀(帝紀)」つまり「日書 紀」だけだった。志や列伝はついに編纂されることがなかったのである。そのために「日書紀」という書名が定着した。思わず唸ってしまった。なるほど、そうだったのか。書は以上の大枠を踏まえた上で、「古代を知る何でもありの宝箱」でもある現存する5か国の風土記を概観しその面白さを伝えようとした力作である

    『風土記の世界』 - HONZ
    bono_hako
    bono_hako 2016/07/16
  • 『歴史手帳 2016年版』 手帳のイノベーション - HONZ

    この12月に労働安全衛生法が改正され、50名以上の事業所について、全従業員へのストレスチェックが義務化される。屋さんでは、日記・手帳商戦の真只中である。これは、偶然ではあるまい。いや、偶然か。いやいや、そんなことはどちらでも良い。これまでの日記・手帳は、成功や効率を追い求めるものが多かったが、最近はそのトレンドがやや変わりつつある。ここが重要である。 ご存知の通り、日めくりカレンダーでさえ、従来型の偉人の名言集ではなく、変わり種が飛ぶように売れている。人々は、ストレスへの自衛手段として、従来の価値観に向き合い続けるのを避けようとしているのではないだろうか。交感神経と副交感神経、オンとオフを上手に切り替えるのは、もはや至上命題なのである。そんな時代に、お薦めしたいのが『歴史手帳』である。 この手帳、実は60年を超える歴史がある。タイプとしては、従来型の「専門手帳」に分類されるのかもしれない

    『歴史手帳 2016年版』 手帳のイノベーション - HONZ
  • 『帳簿の世界史』商人のジレンマ - HONZ

    長らく営業の仕事をしていることもあって、売上や原価といった数字管理はお手のものなのだが、我が家の家計のこととなると話は別である。自分が月々いくら代に使っているのか知らない。エンゲル係数も知らない。家計簿をつけようとも思わない。自分でもよくぞ、おめおめと生きているものだなと思うが、自らの欲望の痕跡を直視することが恐いのだ。 このままではヤバいことくらい、分かっている。だが、どれだけヤバいのかを客観的に知りたければ、歴史に敵うものはない。そこで、書である。 会計と歴史、双方の知見を持つ著者によって手掛けられた『帳簿の世界史』は、アダム・スミス、カール・マルクス、マックス・ウェーバーといった面々が口を揃えて主張した帳簿の力を紐解いた一冊。アクセスログやライフログといったログ全盛の現代社会に、帳簿という最も古典的なログの重要性を描き出す。 数多くの歴史で見られる光景のご多分に漏れず、帳簿の歴史

    『帳簿の世界史』商人のジレンマ - HONZ
  • 『銀行王 安田善次郎』 国家予算レベルで稼いだ男 – HONZ

    善次郎は、力の限り走っていた。 右胸と顔を刺されてなお、生きることを諦めてはいなかった。 迫り来る死の恐怖を振り払いながら、彼はどこへ向かおうとしたのだろう。 薄れ行く意識に抗って、彼は何を考えていたのだろう。 80歳を超えた老体とは思えない懸命の走りも、暴漢の追撃を振り切ることはできず、背後から咽頭部を切りつけられた銀行王・安田善次郎は、82年の人生に幕を閉じることとなる。100歳まで生きたとしても完遂できないほどの事業計画と、2億円を超える資産を残して。 善次郎が亡くなった1921年の日の国家予算は15億9100万円。つまり、彼はたった一代で、国家予算の10%以上の資産を築いたことになる。単純比較はできないが、現在の国家予算(約92.6兆円)を基準に考えると、善次郎がいかに稼ぎまくったのかが想像できる。 富山の下級武士家庭で生まれ育った彼は、どのようにしてこれほどのお金を稼いだのか。

    『銀行王 安田善次郎』 国家予算レベルで稼いだ男 – HONZ
  • 『三種の神器 〈玉・鏡・剣〉が示す天皇の起源』 祟り神は守護神となる - HONZ

    あなたは「三種の神器」が何か、知っているだろうか。“サラリーマンの三種の神器”とか“セクシー小悪魔の三種の神器”のような慣用句ではなく、天皇を天皇たらしめるための3つの品物のことだ。確か、剣と鏡と宝玉だったような…ぐらいは知っていて欲しいが、難しいかもしれない。 書は第125代の今上天皇、明仁まで代々受け継がれてきた三種の神器について、いつ、どのように、なぜそうなったのか。そしてそれらは今、どうなっているのかを古事記、日書紀、その他の地方風土記を資料に謎を解き明かしていく。著者は神職の資格を持つ作家で、私は数年前に『ヒルコ 棄てられた謎の神』を読んでから常に新刊をチェックする書き手となった。古代史というと、あまりにも遥か彼方の出来事で寓話のようにしか思っていなかったが、このでイザナギ、イザナミを始めとした神々に対して生身の人間を感じ、きちんと学んでいきたいと思うようになったのだ。 さ

    『三種の神器 〈玉・鏡・剣〉が示す天皇の起源』 祟り神は守護神となる - HONZ
  • 『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』 なぜ、ルネサンスが起きたのか? - HONZ

    書の主役である「すべてを変えた一冊」とは、地球が世界の中心ではないことを明らかにしたガリレオの『天文対話』でも、生命に進化という概念をもたらしたダーウィンの『種の起源』でもない。暗黒の中世に別れを告げ、大航海時代を迎えようとしていた1417年のヨーロッパで、その一冊は1人のブックハンターの手によって発見された。 その一冊とは、紀元前1世紀頃に著された『物の質について』である。詩人であり、哲学者であったルクレティウスの手によるこのは、古代ローマの同時代人にも受け入れられることなく、時の経過とともに忘れ去られていく。そのため、15世紀初めの頃には『物の質について』は写の一冊も見つけられない幻の書となっていた。このが発見されなければ、ルネサンスの起こりはもっと遅れていたかもしれない。このの価値に気づき、その内容を広めようとする人がいなければ、近代の姿は今とは大きく異なるものとなって

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  • 『素晴らしき数学世界』 - プラットフォームとしての数学 - HONZ

    2012年7月1日、じつに3年半ぶりに”うるう秒”が挿入された。朝8時59分59秒と9時00分00秒、この間に「8時59分60秒」という1秒が差し込まれたのである。 これは海流や季節風の影響で、世界の標準時として使われている原子時計の時間と、地球の自転に基づいて決められる天文時との間に生じるズレを調整するために行われているそうだ。 ズレると言っても、この53年間でわずか34秒程度の話である。これを修正したいと思うことこそ、世界をより正確に数字で表したいという人間の能の発露なのではないかと思う。 古来より人類は、世界を数字で表現しようとしてきた。書はそんな知的冒険家たちが、数を追い求める姿を綴ったものである。なかでもユニークなのは、登場人物たちの人選だ。 東京のそろばん教室の塾長、アリゾナの数秘術者、マサチューセッツの名刺折り紙アーティスト、つくば市の昆虫学者、プリーのヒンドゥー教の導師

    『素晴らしき数学世界』 - プラットフォームとしての数学 - HONZ
  • 数学が出来ても、バカはバカ!? -『神は数学者か? 万能な数学について』 - HONZ

    英語ができても、バカはバカ」とは、どこかで聞いたようなセリフだが、「数学ができても、バカはバカ」という命題は、はたして真なのか、偽なのか。英語と同じように、数学を道具や媒介物と位置づけるなら、この命題は真となる。それなら話は簡単だ。結論は「数学を勉強せずに、を読め!」である。 しかし数学は、道具と位置づけるには、あまりにも上手く出来過ぎているようにも思える。全宇宙だけでなく、きわめて複雑な人間の営みさえも見事に記述することができるのだ。これなら、道具は道具でも「神の道具」ではないかと考える人間がいても不思議ではない。かのアインシュタインも、こう語っている。「数学は、経験とは無関係な思考の産物なのに、なぜ物理的実在の対象物にこれほどうまく適合するのか?」 この命題を、書の言葉で置き換えると、「数学は発見か、発明か?」という問いかけになる。神が自らの想像によって創造した数学、それを人間は

    数学が出来ても、バカはバカ!? -『神は数学者か? 万能な数学について』 - HONZ
  • サイエンスで魔法の種明かし 『鉄は魔法つかい』 - HONZ

    書店は猟場であり、探しはハンティングである 今月読むの紹介は闘いだ。そう、これは大人たちのポケモンバトルだ どちらもHONZ随一の武闘派、鈴木葉月の言葉である。HONZメンバーは常にもっと面白いはないかと日々新刊情報に目を光らせている。毎月第一水曜日に行われる朝会の前日に都内の大型書店に出かければ、“ハンターの目“をしたメンバーを見つけることはそれ程難しいことではないだろう。朝会の前日でなくたって屋には出かけるのだが、どんなを見落としているかも分からない。妥協した無難なを紹介したときにメンバーから向けられる、「あー、そのね。知ってる、知ってる」という視線の冷たさはシロクマも逃げ出すほど。ギリギリまで良いポケモン、ではなく新刊を探し続ける必要があるのだ。 そんな調子でリアル書店だけではなく、ハマザキカクが紹介した凶悪ツールも使いながら新刊情報をチェックしているのだが、それで

    サイエンスで魔法の種明かし 『鉄は魔法つかい』 - HONZ
  • 『ポルノ雑誌の昭和史』 - HONZ

  • 『さいごの色街 飛田』 - HONZ

    HONZに参加して以来、自分がどのようなを取り上げてきたのか、棚卸しなんぞしてみた。最初のダムはともかく、銀座のインド料理屋、川崎を拠地としていたプロ野球球団、東京スカイツリーと東京タワー、自由が丘のスイーツ。いかん、いかん、エリアが東京近郊に寄り過ぎている。オレは東京ウォーカーか!HONZは全国区の媒体だぞ。 そんなわけで思い切って東京を離れ、遠征へと出かけることにした。遠征に出かけるとなると、ついつい羽目を外したくなるのが、男の性(さが)。そうこうしているうちに辿りついたのが、飛田新地である。と、誰に問い詰められたわけでもないのに弁解してみる。 飛田新地は、大阪市西成区に今なお存在する色街だ。面積は、概ね400メートル四方。北寄りが「青春通り」 「かわい子ちゃん通り」、南寄りが「年増通り」「妖怪通り」「年金通り」などと呼ばれている。碁盤の目の街路に沿って居並ぶ「料亭」の合計は、16

    『さいごの色街 飛田』 - HONZ
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