文学部に学生が進学したがらない、世間では文系学部不要論まで現れる、と何かと肩身の狭い文学部教員になってしまった私ですが、考えてみたら、文学部のマイナーさは、今に始まったことではないようにも思います。 私が高校時代、というのは今から40年も前のこと、クラスメートのほとんどが、男子も女子も、将来の職業を考えて受験先を決めているようでした。とくに理系志望が多かったクラスの中で、迷わず「文系」、しかも「ブンガクブでことばの勉強をする」などという生徒は、周囲から、文学部?将来どうするの?などと言われたものです。でも、自分がやりたいことをやらずに大学に行ってどうする、とまで考えたとは思いませんが、とにかく私は、文学部のある東京大学を選びました。 私の中で言葉への関心がいつごろ芽生えたのか、それはよく覚えていません。学問とは縁のないサラリーマン家庭に生まれ、東京の区立の学校に通っていたので、日本語以外の