ふつうの暮らしを送っている人間にとって、俳句を詠むことにどんな意味があるのか。虚子門(「ホトトギス」)の俳人たちの生き方とその句集に俳句表現の秘訣をさぐる。「句集」鑑賞の新しい手引書。 俳句の鑑賞は個々の句を読むことが基本です。作者の名はあまり重要ではありません。「遠山に日の当りたる枯野かな 虚子」という十七音の言葉の塊を覚えていれば、作者を忘れても、この句を味わうことができます。 しかし、句集という形で同じ俳人の作品をまとめて読むと、一句だけの鑑賞では味わえない俳句の面白さが見えて来ます。(中略) 句集は俳人の個展です。題材や表現の傾向、作風の特徴や変化、俳人の人生や境涯を反映した軌跡です。句集は、俳句と人生とが一体化した俳人の「生き方」そのものです。 本書は、句集の鑑賞を通じて「生き方としての俳句」について考えていきます。 (中略) 俳句は日常の詩です。俳句は「宇宙の日常」を、客観的か