米国の大統領選で共和党候補者指名が確実となった実業家トランプ氏(69)がウォール街(米金融街)に急接近している。選挙資金集めの責任者に金融界の大物を起用、本選を見据え、これまで批判したウォール街との関係強化をもくろむ。業界有力者の「トランプ支持」も広がりつつある。 5月11~13日。2千人を超えるウォール街関係者がカジノの都、ラスベガスに集まった。昼間はシンポジウムが開かれ、夜には情報交換の場がもたれた。会場は、ジョージ・クルーニー主演の映画「オーシャンズ」シリーズで知られる高級ホテルのベラージオ。気温が30度を超え、Tシャツ短パン姿の観光客が目立つホテルで、「関係者以外立ち入り禁止」のエリアを、ダークスーツに身を包んだ集団が出入りする。その中に、ニューヨークから訪れた大物の姿があった。 スティーブン・ムニューチン氏。トランプ氏が5月上旬、「金庫番」の資金管理統括に指名した人物だ。親子2代