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ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (10)

  • 及川琢英『関東軍——満洲支配への独走と崩壊』 - 紙屋研究所

    そうだなあ、高校の教科書程度しか知識のない人間=ぼくが読んだのだが、読みやすいとはなかなか言えないであった。 関東軍――満洲支配への独走と崩壊 (中公新書 2754) 作者:及川 琢英 中央公論新社 Amazon その原因は、人名や役職名、組織名などが多く、それらが織りなす個別事実がたくさん書かれていて、素人には「で、それは一体どういう意味を持つのですか?」と言いたくなってしまうのである。学者からすれば、それらは軽々に規定できるものではないのかもしれない。だから、個別事実を「豊富に」並べることで読者が感じ取るように作られている気がした。 また、ぼくにとって馴染みのある「軍閥」という言葉(概念)は出てこない。最近の歴史学の動向など全然知らないのであるが、どうして使わないのか、説明はない(他方で「馬賊」「巡防隊」などはごく簡単な説明がある)。 張作霖らをリーダーとする「奉天派」というのは、こ

    及川琢英『関東軍——満洲支配への独走と崩壊』 - 紙屋研究所
  • 日本共産党の自衛隊論を整理する - 紙屋研究所

    この記事。 news.yahoo.co.jp ついている「はてブ」のブコメが、まあなんと言おうか…。 b.hatena.ne.jp なーんて冷笑している場合じゃない。こういうブコメがつくのも、共産党が国民に広く自分の立場をこれまで知らせてこなかったという「問題」でもあるのだろう。知らないのは、国民のせいではなく、当該政党の努力の問題じゃ、ということ。 共産党自衛隊に対する方針(ざっくり簡単に) 日共産党自衛隊への態度とはつまるところ、こういうことだ。 自衛隊は違憲であり、将来的には憲法9条は完全実施(自衛隊の解消)されるべきである。 しかし、それは将来、アジアの国際環境がよくなり、国民が「もういいじゃない?」と合意してのちであって、それまでは自衛隊は存在するし、活用する。専守防衛の部隊として侵略者と戦うのである。 共産党が参加する政権ができたときも同じ。党としては違憲という考えを持ち

    日本共産党の自衛隊論を整理する - 紙屋研究所
  • スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所

    リモート読書会は、川谷茂樹『スポーツ倫理学講義』を取り上げた。 このについてはすでに2005年に書評を書いている。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 例えば写真は、今年11月28日付の西日新聞夕刊の記事であるが、柔道の1984年五輪における山下・ラシュワン戦を振り返り、怪我をしていた山下の「右足は狙わないと決めていた」とするラシュワンの言葉を載せ、「その高潔な精神は世界で評価され、国際フェアプレー賞を受賞した」とする。1面のほとんどを使って、相手の弱点を狙わないことを「フェアプレー」として称揚している。 西日新聞夕刊2020年11月28日付(6面) 川谷は、この山下・ラシュワン戦を冒頭に題材にとり、「相手の弱点を狙わないことはスポーツマンシップに悖るのか」という問いを立てている。 川谷は、勝敗の決着こそがスポーツの内在的目的であり、それがスポーツのエトスだと

    スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所
  • 山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』 - 紙屋研究所

    タイトルに惹かれて読んだ。 日少子化対策はなぜ失敗したのか?~結婚・出産が回避される当の原因~ (光文社新書) 作者:山田 昌弘 発売日: 2020/05/29 メディア: Kindle版 山田がいうには、 日はスウェーデン、フランス、オランダの対策をモデルにしてしまった。 これらの国の固有の価値観を少子化対策の前提にしてしまった(子は成人したら独立する、仕事は女性の自己実現など)。また日固有の価値観をスルーしてしまった(リスク回避、世間体重視など)。 ということである。 因果が逆では 全く当たっていないわけではないけども、基的に因果が逆ではないのか、というのが書を読み終えた率直なぼくの感想である。意識や志向の問題ではなく、長い自民・公明政権下での政策の遅れ(というか逆方向)がそのような意識や志向を作り出してしまったのである。それなのに、山田は意識や志向から欧州との差やこれか

  • えっ、「野党5党派で政権交代を目指す」!? - 紙屋研究所

    これホントに言ったの? 立憲民主党の枝野幸男代表は21日夜、野党共闘について「3年前に(参院選で)初めてこういった形を取った時よりは、いろいろな意味で連携が深まっていると思っている」と評価した。そのうえで「この連携をさらに強化して、次の総選挙ではしっかりと政権選択を迫れるような状況を作っていきたい」と述べ、立憲民主、国民民主、共産、社民、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野党5党派で政権交代を目指す考えを示した。 https://www.asahi.com/articles/ASM7Q00R4M7PUTFK016.html っていうか、直接それを示す文章がないけど、「野党5党派で政権交代を目指す考えを示した」っていう含意で解釈していいの? いや、批判しているわけじゃなくて、これはなかなかスゴいことだと思う。 共産党が加わっての政権協議が始まれば、それは歴史的なことだ。 今回の選挙は改

    えっ、「野党5党派で政権交代を目指す」!? - 紙屋研究所
  • デービッド・アトキンソン『新・生産性立国論』 - 紙屋研究所

    著者アトキンソンによれば、人口減少の日では生産性を上げる以外に未来がなく、著者はそのための3つの政策を提唱している。 デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論 作者: デービッドアトキンソン 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2018/02/23 メディア: 単行 この商品を含むブログ (3件) を見る えーっと、まあ別に書いてもええやろ。この人のは、この3つの政策を種明かししたからといって価値がなくなるようなタイプのじゃないので。 企業数の削減 最低賃金の段階的な引き上げ 女性の活躍 である。なぜこういう政策が導かれるのかというロジックはそれこそ書を読むといいだろう。 この政策のうち1.と2.についてちょっと書く。 左翼としてどう考えるかってことを。 企業を淘汰すること まずこの1.なんだけど、アトキンソンはホントこの点は容赦ないんだよね。 というのは、日はサー

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  • 小学校の運動会は要らないなと思った理由 - 紙屋研究所

    この記事を読んで思ったこと。 news.yahoo.co.jp 特にこの点。 ●運動会の目的と目標がきちんと明確になっていない。 関係者のあいだで(保護者だけでなく、おそらく教職員の間ですら)腹落ちしていない。 ●その目的、目標に照らして適切な手段となっているかが十分に検討されていない。 ところが、なんと、指導要領には一言も「運動会」という言葉は出てこない。この事実を教職員は知っているだろうか? 正確に言うと、特別活動の学校行事のひとつとして、「健康安全・体育的行事」という記述はある。この体育的行事のひとつの例として、運動会はある。(指導要領の体ではなく、解説には運動会との文言は出てくる。) 極端な話をすると、「うちは運動会はしません」という学校があってもよいわけである。 運動会が目的に合ったものなのか、そもそもマストではないはずだ、という指摘は大事だ。 なぜなら、ぼくはつい先日小学6年

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  • 「安倍を支持する3割」についての想像 - 紙屋研究所 *1 『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』のp.285-289。「僕はオリンピックの後に大きな問題が出てくるんじゃないかなと思います」(松尾)「一番怖いのは東京オリンピックのあとだ」(ブレイディ)「このままでは五輪後地獄だぞ」(北田)。

    「安倍さんを支持する人ってどういう部分が良いと思ってるの?」というはてな匿名ダイアリーの記事があった。 安倍さんを支持する人ってどういう部分が良いと思ってるの? - はてな匿名ダイアリー 安倍政権の支持率は、どんな不祥事が出てきても3割くらいから下がらない(まあ「7割くらいは支持していない」とも言えるが)。 この3割ってどんな層なのだろうか。 勝手に想像してみる。 一つは「経済」(経済政策) この間、福岡市で印刷会社に勤めている、娘の保育園時代のパパ友・Aさんと酒を飲む機会があったんだけど、彼の感覚では「不動産、建設がホントに景気いいですよね〜」。 これは景気動向調査のようなデータとも一致するが、細かい数ヶ月単位の数字データというより、ざっくりとした景気の感覚。例えば年間の展望について建設は「首都圏再開発事業などで好況が続く見通し」、不動産は「首都圏を中心としたオフィスの大量供給が見込まれ

    「安倍を支持する3割」についての想像 - 紙屋研究所 *1 『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』のp.285-289。「僕はオリンピックの後に大きな問題が出てくるんじゃないかなと思います」(松尾)「一番怖いのは東京オリンピックのあとだ」(ブレイディ)「このままでは五輪後地獄だぞ」(北田)。
  • 質問の緊張感 - 紙屋研究所

    志位和夫の党首討論が話題になっているが、元官僚だった松井孝治(慶応大教授、元民主党議員)のフェイスブックの投稿が面白かった。 https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1630450053835851&id=100006126152789 興味深かったのは党首討論の内容もさることながら、質問通告をうけての議員と当局側の駆け引きの緊張感について松井の投稿が触れていることだ。 松井の投稿を読むと、党首討論は普通の質問と違って、かなり粗い質問通告が許されている。「クイズ質問」といわれないように、ポツダム宣言という、戦後認識の根幹にかかわり、しかも非常に短い重要文書への認識を問うという戦略をとった志位のやり方を、うまくやりやがったなあと評価しているのである。 このあたりは志位氏のうまいところで、戦後レジームからの脱却を唱える総理が、ポツダム

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  • 選挙における気になる思考方法 - 紙屋研究所

    参院選も最終盤だけど、「●●という仕事がすばらしかったから」という1つや2つの理由で、候補者Xを推している人がときどきいる。最近とみに増えてるな。 そいつをAとしよう。 もちろん、それは自由だよ。どういう理由でAが候補者Xを推すのかは自由だよ。 だけど、候補者X、もしくはそいつが所属していた政党が国会で消費税増税法案に賛成しているなら、候補者Xはもちろん、候補者Xを推しているAも消費税増税という大衆収奪に責任を負うんだよ、当たり前だけど。 「いや、●●という仕事についてはいいと思ったけど、消費税増税に賛成したことは別にいいとは思ってないよ」とかいう言い訳は効かない。効かないに決まってるだろ。アホか。 だって、候補者Xとその所属政党は賛成してんだもん。国会で議席を得てそういうものに手をあげるとか起立するとかして賛成するのはものすごく重いことなんだ。生活、ときには命を奪ってるかもしんないんだよ

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