現代日本を代表する思想家の東浩紀氏。デビュー本『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』(1999年)で鮮烈なデビューを果たして以来、エッヂの効いた発言を続けている。作家としても『クォンタム・ファミリーズ』(2009年)で三島由紀夫賞を受賞。株式会社ゲンロン 代表取締役。 自称思想家という人はなんだか残念で香ばしい香りがすることが多いのに、思想家を実際に生業(なりわい)として いる人からは一通りでない覚悟が感じられることが多いのは気のせいでもあるまい。 そもそも思想家とはなにをする人なのだろうか? 「僕もよくわからないんです。 「たとえば今回の僕の本の内容で言えば、人々はリアルの人間関係が強くてネットの人間関係は弱いと思っているけど、それって逆でしょ?と言うわけですね」 しばしの黙考の末、言葉を選びながら東は答える。 「そういう問題提起によって、人々は『ああ自分たちはネットによって不自