かつて上原専禄はまだ学部生だった愛弟子・阿部謹也に「(卒論は)どんなテーマでもかまわない」が「どんな問題をやるにせよ、それをやらなければ生きてゆけないというテーマを探すのですね」とアドバイスした。阿部『自分のなかに歴史を読む』の12-3ページに記されているエピソードなのだが、たまたま僕はそれを関大着任直前に読み、かなり大きな影響を受けた。関大の学生の大半は研究者を志望して入学するわけではない。自分の専門的研究分野(経済思想史)にはとらわれずに、学生自身が心から切実に感じている問題をとことん考え抜くための機会を与えるべきではないか。これが僕のゼミ運営の基本方針となった。 このような僕の方針に忠実だったのかどうかは定かでないが、3期生Fさんは卒論テーマに「容姿の美醜の哲学的考察」を選んだ。何て率直で切実なテーマだろう! けれどもこれほどまで率直かつ切実なテーマを指導するとなると、正直、かなり荷
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