日米戦争(太平洋戦争)とは何だったのか?なぜ今日に至っても歴史的評価が定まらないのか?そもそも日本は何のためにアメリカと戦争したのだろうか? 著者が指摘しているように、過去の出来事を知っている我々は、歴史に対して神の立場に立っている。全ての結末を知っている現在から、過去の人々の判断や行動を後講釈で説明しても意味がない。 「ルーズベルト大統領は真珠湾攻撃を知っていた」(ルーズベルト大統領は、ヨーロッパへの参戦の口実を作るため、攻撃を放置した)というありがちな陰謀論を斥け、「アメリカは真珠湾の軍事的脆弱性は十分理解していたが、日本による真珠湾攻撃に政治的・軍事的妥当性はないと判断していた」というのが筆者の見立てである。 冷静に考えてみれば、アメリカとイギリスが日本の暗号を解読していて日本軍の行動が筒抜けであったのなら、なぜ真珠湾の太平洋艦隊を壊滅させられ、フィリピン、マレーシア、シンガポールな