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ブックマーク / honz.jp (41)

  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
  • 『保身 積水ハウス、クーデターの深層』変われないこの国を描く骨太の経済ルポ - HONZ

    読み終えた途端、深いため息が出た。かつて「全員悪人」というキャッチコピーの映画があったが、さしずめ書は「登場人物、全員小物」といったところだ。だが、小物ばかり出てくるのにページをめくる手が止まらない。それはこの小物が私の中にも棲んでいるからかもしれない。このにはまぎれもなく私たちの姿が描かれている。 そのクーデターが起きたのは、2018年1月24日のことだった。住宅メーカーのリーディングカンパニー積水ハウスの取締役会で、会長職にあった和田勇が、社長の阿部俊則が提出した動議によって事実上の解任に追い込まれたのだ。 これは実に奇妙なクーデターだった。取締役会に先立つ2017年6月、積水ハウスは地面師詐欺に遭い、55億5900万円を騙し取られていた。事件をきっかけに立ち上げられた調査対策委員会は、経緯をつぶさに検証した結果、来「騙されるはずがなかった事件」だとして、社長の阿部に経営上の重い

    『保身 積水ハウス、クーデターの深層』変われないこの国を描く骨太の経済ルポ - HONZ
  • バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ

    この『四分の一世界旅行記』はSF・奇想短篇集の『半分世界』でデビューし小説家として活躍している石川宗生によるバックパッカーとしての旅行記である。四分の一世界旅行記と題されているように、訪問する場所は中央アジア、コーカサス、東欧の15カ国。世界一周でもなければ、アマゾンの奥地にひそむ巨大ナマズを見つけるみたいなビッグ・テーマや企画がある旅ではない。旅が好きな作家が行った、気ままで地味な旅行記だが、それがなんだかおもしろい。 いまのご時世、インターネットに情報は溢れかえっており、旅先でそうそう絶体絶命のピンチに陥ったりすることもない。言葉が通じなくても、スマホで翻訳すればやりとりできる。ある意味、現代は魅力的な旅行記を書きづらい時代である。書でも当にたいしたことは起こらないのだけれども、その分、旅の細かなディティール──何をべたとか、どんな人と出会ったとか、ちょっとした困りごと、悩みごと

    バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ
  • 『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ

    やばい、遅刻だ! 必死で走る私。バッグの中には、『ほぼ命がけサメ図鑑』。 その日私は、世界でただひとりのサメ専門ジャーナリスト(シャークジャーナリスト)であり書の著者でもある、沼口麻子さんと会う約束をしていた。が、池袋駅前で道に迷ってしまっていた。 サメ――海に行ってもお会いしたくない生物の代表格。「凶暴な海のハンター」というイメージをもつ人も多いことだろう。 ところがそのサメを追い求めて、サメの情報発信を生業としている女性がいる。しかも、6年がかりで執筆した『ほぼ命がけサメ図鑑』は発売後わずか5日で重版したというではないか! 『ほぼ命がけサメ図鑑』は、サメの生態など科学的な紹介から料理など人との関係、サメQ&Aに研究現場の紹介などなど、内容盛りだくさんのサメへの熱い想いにあふれる一冊である。 これはもう、著者に会ってみたいと思わないほうが、おかしいのではないか。 時間ぎりぎりに、汗だ

    『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ
  • 『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか? - HONZ

    2017年11月29日未明、北朝鮮が発射したミサイルは、日米の防衛当局に衝撃を与えた。なぜならこの時発射された「火星(ファソン)15型」は、アメリカ土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったからだ。 ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は12月22日、北朝鮮への新たな経済制裁決議を全会一致で採択した。新たな制裁の柱はガソリンやディーゼル燃料、灯油などの石油精製品の年間供給量の上限をこれまでに比べ9割削減するものだ。 また決議案では、北朝鮮の資金源を断つことを目的に、品や機械、電気機器、マグネサイトなどの鉱物類、木材などを禁輸対象に加えた。履行されれば、過去の制裁とあわせ、北朝鮮はほぼすべての品目で輸出ができなくなる。そう、ちゃんと履行されさえすれば……。 考えてみれば、おかしな話ではないだろうか? 北朝鮮に対する国連決議は過去1年余りだけでも4回も行われている。 だが、これだ

    『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか? - HONZ
    boxmanx99
    boxmanx99 2018/01/22
    壮絶な戦い
  • 『医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること』 - HONZ

    書はイギリスのGP(general practitioner)、グレアム・イーストン医師の著作『The Appointment』の日語版である。原書の内容に加えて、日とは異なるイギリスの医療制度やそこで活躍するGPについての解説文「日の読者のみなさまに」が付いており、日語版のために文中にも若干の加筆がしてある。 グレアム・イーストン医師は私の友人なので、以下、いつものように親しみを込めてファーストネームを使わせていただくが、私がグレアムに最初に会ったのは、私が「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」の編集委員をしていた頃で、2000年代に入って数年が経っていたと思う。当時彼はBMJの編集主幹の一人で、ロンドンでの編集委員会や彼がBMJを広めるために参加していた世界家庭医機構(WONCA)の国際学会で何度も顔を合わせている。「日の読者のみなさまに」の冒頭に書かれてい

    『医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること』 - HONZ
    boxmanx99
    boxmanx99 2017/06/19
    "イギリスのGP(general practitioner)、グレアム・イーストン医師の著作"
  • 『『捨てられないTシャツ』Tシャツには、物語が溢れている - HONZ

    幼い頃、母親からTシャツは下着であると教えられた。当時、下着は断然、白のランニング派だったので、Tシャツには見向きもしなかった。だから学生時代にアメカジブームに遭遇した時は面らった。白いTシャツを着た男たちが街にあふれたからである。 そんなTシャツがいまや欠かせないファッションアイテムである。ならばさわやかに着こなしてやろうと意気込んでも、時すでに遅し。ぶくぶくと太った体型にあわせても、寺内貫太郎にしか見えない。気がつけば、白いTシャツは、手の届かない憧れのアイテムになってしまっていた。 『捨てられないTシャツ』は、有名無名を問わず70人のTシャツにまつわるエピソードをまとめた一冊だ。これがむちゃくちゃ面白い。 編者は都築響一。雑誌メディアにオシャレなインテリア写真があふれる時代に、あえて生活感あふれる部屋の写真ばかりを集めた『TOKYO STYLE』を発表するなど、独自の視点で刺激的な

    『『捨てられないTシャツ』Tシャツには、物語が溢れている - HONZ
  • あの時、アメリカで何が起こっていたのか──『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ

    PS4とSwitchが盛況な現代だけれども、かつてはセガと任天堂が覇権をめぐり争っていた日々があった。日視点でみるとあまり印象が強いわけではないが、メガドライブ(北米版はジェネシス)がアメリカでは任天堂のシェアを上回るなど、互角の戦いを繰り広げていた時代があるのだ。 書はそうしたハード戦争においてセガが任天堂に対抗できていた一時代を、主にアメリカ(セガ・オブ・アメリカ(SOA)、ニンテンドー・オブ・アメリカ、ほんの少しソニー)の視点から、数百のインタビューを元にストーリー仕立てで構成してみせた一冊になる。基的にはセガ視点が多めで、その中でもSOAの社長であるトム・カリンスキーを主人公として物語は展開していく。 強固な哲学と資金力を持った圧倒的な敵(任天堂)に対して、資金力で劣るものの打倒任天堂の大望を持ち、新しいマーケティングや新技術を駆使して戦うSOA。そしてSOAの度重なるビジネ

    あの時、アメリカで何が起こっていたのか──『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ
  • トランプ政権の理論的支柱となる一冊『米中もし戦わば』 - HONZ

    2017年2月10日、日米首脳会談が実現し、両首脳は日米の友好関係を大々的にアピールした。米国のドナルド・トランプ新大統領にとって、日との友好関係を内外に示すことはどのような狙いがあるのか。日米同盟強化によって何に対峙しようとしているのか。大手メディアではあまり語られない米国の真意が書に書かれている。 トランプ新政権の中枢に入る経済学者ピーター・ナヴァロ氏が執筆した最新著作が書。中国の軍事的脅威を取り上げ、米国のアジアでの立ち回り方を指南する。トランプ新政権の対中国観ならびにアジア観を代弁する書といっても過言ではない。今日、安倍政権中枢部や防衛省幹部の必読書ともいわれているほどだ。 2016年の大統領選の選挙期間中、著書の主張に感銘を受けたトランプ米大統領は彼のアイデアを重宝した。ラストベルトと呼ばれる地域の労働者の共感をえたことが、最終的にトランプ氏の大統領選勝利に繋がったが、その

    トランプ政権の理論的支柱となる一冊『米中もし戦わば』 - HONZ
  •  紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ

    学生時代、生物調査のために同級生たちと森でテント生活をしたことがある。当然、トイレはない。必然的に穴を掘ってそのへんにすることになるのだが、その方法には鉄の掟があった。 「紙は使うな、葉っぱで拭け」 ティッシュは簡単には分解しない。自然環境を学ぶ者として、紙を使わないことは最低限の自然への礼儀であった。 「たかが、野ぐそ」と侮るなかれ。適した葉っぱを見つけるには、鋭い観察眼と植物の知識が要求される。もし、トゲのある葉っぱだったら。見た目はOKでも、毒があったら。トゲや毒はなくても、せっかくならば保水力のあるやわらかな質感のものを使いたい。 こうして私たちは「究極の葉っぱ」を求めて観察し、図鑑を調べ、最適と思われる葉っぱをもつ植物が生える環境をさぐり、植物の知識だけでなく仲間同士の絆をも深めていった。情報交換しなければ、こんな極めて特化された用途を教えてくれる資料など、なかったからだ。 とこ

     紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ
    boxmanx99
    boxmanx99 2017/02/16
    漆でふいてかぶれるところまで書いてあるだろうか?
  • 『日米開戦と情報戦』目的の不明確さが招いた悲劇 - HONZ

    日米戦争(太平洋戦争)とは何だったのか?なぜ今日に至っても歴史的評価が定まらないのか?そもそも日は何のためにアメリカ戦争したのだろうか? 著者が指摘しているように、過去の出来事を知っている我々は、歴史に対して神の立場に立っている。全ての結末を知っている現在から、過去の人々の判断や行動を後講釈で説明しても意味がない。 「ルーズベルト大統領は真珠湾攻撃を知っていた」(ルーズベルト大統領は、ヨーロッパへの参戦の口実を作るため、攻撃を放置した)というありがちな陰謀論を斥け、「アメリカは真珠湾の軍事的脆弱性は十分理解していたが、日による真珠湾攻撃に政治的・軍事的妥当性はないと判断していた」というのが筆者の見立てである。 冷静に考えてみれば、アメリカとイギリスが日の暗号を解読していて日軍の行動が筒抜けであったのなら、なぜ真珠湾の太平洋艦隊を壊滅させられ、フィリピン、マレーシア、シンガポールな

    『日米開戦と情報戦』目的の不明確さが招いた悲劇 - HONZ
  • 南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』 - HONZ

    地球上で、家を建てるのが大変な場所はどこだろう? ジャングル? 砂漠? ツンドラ? 南極や北極? 極地観測のために建てられた南極基地の建築物を、写真と丹念な解説で見せてくれるこの一冊。昭和基地をはじめとする、極限環境での建築の数々は、こんな技術や人に支えられていた! こんなにすごいことをしていたなんて、知らなかった。 このの感想はこの一言に尽きるかもしれない。 南極といえば、高倉健がタロとジロを抱きしめる映画『南極物語』を思い出す人も多いだろう。1911年の、アムンゼンとスコットの壮絶な南極点到達競争を読んだことのある人もいるかもしれない。そういえば私は、「船の科学館」で南極観測船「宗谷」を見学した記憶もある(1979年から保存展示されているが、移設のため、一時的に2017年3月末まで一般公開を休止中。この「宗谷」もまたロマンあふれる船だ)。 と、その程度の知識しかない人でも読み応えじゅ

    南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』 - HONZ
    boxmanx99
    boxmanx99 2017/01/13
    プレハブ工法の祖。同名の展示が東京と大阪であり
  • 『礼服(らいふく) ―天皇即位儀礼や元旦の儀の花の装い―』 - HONZ

    における最高の正装をご存知だろうか? タイトルでもある礼服(らいふく)とは、「大宝律令」および、これを改定した「養老律令」の衣服令において、皇太子以下五位以上の貴族の正装と規定されており、わが国で最も格式の高い服である。元日に行われる朝賀の他、大祀や大嘗という特別な祭祀にも用いられており、国家的に最も重要な儀礼に使用された装束といえる。 といっても明治天皇の即位に際して廃止されてしまったので、現在はその服を実際に見ることはできない。憲法第七条に列挙されている天皇の国事行為のうち、「外国の大使及び公使を接受すること」に該当する重要な儀式である新任状捧呈式では、天皇はモーニング姿でお出ましになり式がはじまる。天皇のそばには外相が立ち、ほかに宮内庁長官と通訳、それに天皇の後に続いて松の間に入った侍従長や侍長の姿が見えるのだが、いずれもモーニング姿だ。 しかし、皇室祭祀には今でも古式の装束がみ

    『礼服(らいふく) ―天皇即位儀礼や元旦の儀の花の装い―』 - HONZ
  • 『日本の聖域 ザ・タブー 』 - HONZ

    わが家でも、「選択」を定期購読しているが、シリーズ「日のサンクチュアリ」を毎回読んでいるわけではない。そこでこの機会に、改めて聖域に足を踏み込んでみると、自らの経験と照らして、思い当たる節のある聖域がいくつか目についた。いずれもしばらく前に書かれた記事だが、最近になって、それらの聖域には新しい動きが出ている。それは、何年かたったくらいでは、賞味期限の切れないようなテーマが、聖域の対象として選ばれてきた証だろう。 2016年の夏は、ネタ涸れを感じさせない夏だった。まずは、舛添前東京都知事の政治資金をめぐる問題で、ザル法と言われる政治資金規正法の網をくぐり抜けた舛添氏が、「違法性はないが不適切」という、世論の網に絡めとられて、辞任に追い込まれた。その後行われた都知事選挙で、突如脚光を浴びたのが、これまでは都民の目に触れることもなかった自民党東京都連で、ついには、「都連のドン」と呼ばれる人物に

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  • あなたの「ふつう」をあつらえる 『未来食堂ができるまで』 - HONZ

    この夏に軽井沢で長野県産ワインをプロモーションするためのレストランをオープンしたのだが、当初の予想通りと言うか、とにかく全く儲からない。クラウドファンディングで沢山の方々から開業資金のご支援を頂いて、それが大きな助けになっているのだが、それでも内装・設備など開業コストの負担が重過ぎて、とても投下資金が回収できる感じはない。 レストラン経営が儲からないとは聞いていたものの、売上、原価、人件費、家賃、減価償却費くらいしか項目がない単純なビジネスモデルなのに、黒字にするのが驚くほど難しいことを改めて思い知らされた。 そんな時に、この『未来堂ができるまで』に関するダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー編集部による書評『未来堂は、経営の未来となるか』 を読んで俄然興味が湧き、その日の内に神保町の日教育会館の地下にある未来堂まで行ってランチを頂いてきた。 いきなり書の著者である小林せか

    あなたの「ふつう」をあつらえる 『未来食堂ができるまで』 - HONZ
  • 『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い? - HONZ

    火附盗賊改といえば、池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』を思い浮かべる人も多いであろう。特にテレビドラマで中村吉右衛門が演じる長谷川平蔵が「火附盗賊改である!」と見得を切るシーンは有名だ。 ところが、小説やドラマなどで有名な火附盗賊改という組織がどのような組織であったのかと問われると、私をはじめ多くの人が明確には答えられないのではないか。そもそも江戸の治安を守っていたのは北町、南町の奉行所ではないのか?という疑問が湧いてくる。小説映画、果ては漫画まで江戸時代を扱う作品は巷にあふれるように存在している。そのために、この時代の事はなんとなく知っているように思いがちだ。火附盗賊改もそんな存在の一典型ではないだろうか。 では火附盗賊改とはどのような組織であったのだろうか。それを知るには徳川幕府創世記の慶長・元和の時代まで遡る必要がある。戦国の余風が残るこの時代には滅亡した大名家の残党とも言うべき人々が

    『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い? - HONZ
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    boxmanx99 2016/10/23
    こりゃ面白そうだ。このエピソードに基づいて連作ドラマなんかやってみても良さそう(まだ本読んでないけど)
  • 『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか? - HONZ

    とてもおかしな連想かも知れないが、書を読んで映画「ロード・オブ・ザ・リング」を思い出した。実際に見た方も多いと思うが、この映画は闇の冥王サウロンが自らの残忍さ、邪悪さ、そして生きるもの全てを支配したいという欲望を注ぎ込んだ、世界を滅ぼす魔力を秘めたひとつの指輪を巡る壮大なドラマである。 邪悪なものだと知りながらも、一度サウロンの指輪を手にすると、その怪しげな魅力に取り憑かれ、迷宮の闇に転落してしまう。それは、書に登場する、数十億円というおカネを守るために日を捨ててシンガポールへ逃れ、人生そのものを見失ってしまった一部の富裕層の姿とオーバーラップする。 今や大前研一の指摘する、主権国を離れた「ホームレスマネー」は世界全体のGDP(約7千兆円)に匹敵する規模にまで膨れ上がり、また『21世紀の資』のトマ・ピケティが指摘するように、世界全体の純資産の1割弱(数十兆円)がタックスヘイブン(租

    『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか? - HONZ
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    boxmanx99 2016/09/16
    清武英利氏の金融ルポ
  • 『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作 - HONZ

    私は堤清二が作り上げたセゾン文化の恩恵にあずかった世代だ。音楽ファッション、美術と、清二のおかげで知ったことは数知れない。だが同時にビジネス上での異母弟、義明との相克も報道で知ってはいた。 著者の児玉博は2000年の“セゾングル―プ”解体の折の記者会見で、淡々と答える清二に対峙していた。財界を退いて9年、清二は小説家、辻井喬として生きてきた。だがその5年後、義明が証券取引法違反で逮捕され、西武グループは崩壊する。再建を主導する銀行のやり方に突如、異を唱えた清二は最前線に立った。 児玉は真意を探るためにインタビューを申し込む。計7回、十数時間に及ぶインタビューの初回、名前の呼び方を尋ねると「堤清二として話をさせて頂く」と答えた。彼の口から語られた堤一族の姿は、隆盛と凋落の歴史であり、怨念と情愛の二律背反の物語であった。 滋賀から上京し立志伝中の人となった康次郎は艶福家であった。3番目の正

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  • 『「イスラム国」の内部へ 悪夢の10日間』ISとは何者なのか? - HONZ

    イラクとシリアに跨るISの支配地域の内情がどの様なものであるのかは多くの謎に包まれている。メディアなどで語られる情報は反IS側の陣営によるプロパガンダ的な要素を含んだ物が多く、その内容のどこまでが真実であるのか釈然としない点も多い。IS側もこれまでジャーナリストを支配地域に入れる事を拒んできた。多くのジャーナリストがIS の戦闘員に拘束され殺されている。書はそんな状況の中で西側陣営のジャーナリストとして初めてISの指導者であるバクダーディーから正式に許可を得てIS支配地域を取材にしたドイツ人ジャーナリスト、トーデンヘーファーのルポタージュだ。 ジャーナリストとしての著者の立ち位置は明確だ。事が起こった際には、批判的精神を持ちつつ当事者双方の意見に耳を傾けるというものだ。当たり前なように聞こえるがこれは当に難しい事だろう。日の事を例にとって考えればわかるだろう。中国北朝鮮などの国々と

    『「イスラム国」の内部へ 悪夢の10日間』ISとは何者なのか? - HONZ
  • 史上最強のナード──『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』 - HONZ

    君は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(Dungeons & Dragons :以下D&D)を知っているか。 D&Dは紙と鉛筆とサイコロ、世界観や数値が記載されたルールブック、それに自身の想像力/対話を駆使して複数人で行うテーブルトークアールピージー(以下TRPG)である。1974年に発売された作は世界中で流行し、プレイヤーが冒険者になりきってファンタジー世界を探索する世界初のロールプレイングゲームと呼ばれる。数えきれないほど多くのクリエイターが作から受けた影響を表明しており、TRPGをやったことがなくともD&Dの名は知っている人も多いだろう。 ゲイリー・ガイギャックスはこのD&Dを生み出した人物であり、書はそんな偉大な男の伝記である。これがもう、めちゃくちゃおもしろい。その人生は波乱万丈。幼少期からゲームにのめり込んで高校は中退、仕事ゲームをやっていてクビになる。独創的なゲーム・アイデ

    史上最強のナード──『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』 - HONZ