安倍政権が悲願とする「特定秘密保護法」が今国会で成立しようとしている。権力者に不都合な情報の隠蔽を可能にする同法案が「天下の悪法」であることは言を俟たないが、同法が縛るのは秘密を報道するメディアだけではなく、第一義的には「国家機密を漏洩した者」、すなわち霞が関官僚たちのはずだ。 しかし、なぜか法案の成立を静かに見守るだけである。本誌名物の覆面官僚座談会では財務省中堅官僚A氏、経済産業省中堅官僚B氏、外務省若手官僚C氏、防衛省若手官僚D氏に集まってもらい、なぜ法案に反対しないのか、その理由を語ってもらった。 (司会・レポート/武冨薫) ──なぜ、あなた方は反対しないのか。 財務A:国家の枢機に参画するのは官僚の誇りであり、ある種、醍醐味でもある。だから決して機密を漏らさないし、退官後も墓場まで持って行く。特定秘密保護法案で罰則が強化されたからといって、その覚悟に変わりはない。 経産