暗渠マニアック! [著]吉村生、高山英男 本書における暗渠(あんきょ)とは、「地下に水の流れが残っている、いないにかかわらず、『もともと川や水路(あるいはドブ)があったところ』」のことだ。アスファルトに覆われて道になっていたり、近隣住民お手製の蓋(ふた)でふさがれていたりする暗渠を見つけ、さまざまな角度から味わうのが暗渠マニアだ。 本書では、「歴史掘り下げ型」の吉村氏と、「俯瞰(ふかん)・分析型」の高山氏が、主に東京都内を中心に、いろんな暗渠へ案内してくれる。写真も豊富で、暗渠を大氷河やフィヨルドに見立てて観賞するところなど、奥深さと着眼点のよさに笑いながら感動した。 私は子どものころ、水路で遊んでいた。本書の分類に従うと、あれは「はしご式開渠」だ。子どもだけが入りこんで冒険する、秘密の通路だった。本書を片手に、ひさしぶりに訪ねてみよう。 暗渠という観点から町並みを眺めると、見慣れた景色が