■未来切り開くベンチャー精神 天正18(1590)年。徳川家康は、関白の豊臣秀吉から関東八カ国への移封を打診される。そこは240万石の広大な領土ながら、低湿地が多く、使える土地は少なかった。家臣団は猛反対するが、家康は居城を江戸に決め町造(づく)りに着手する。 『東京帝大叡古教授』が直木賞候補になった門井慶喜の新作は、江戸を大都市に変えた技術官僚に着目した連作集である。 湿地対策のため、利根川の流れを変える大工事を行う伊奈忠次を主人公にした「流れを変える」。神田上水の建設に尽力した大久保藤五郎と内田六次郎を描く「飲み水を引く」は、当時の土木工事を迫力いっぱいに活写した技術小説となっている。 秀吉の下で大判を作る後藤家に雇われていた庄三郎が、自分を認めてくれた家康のため、新通貨の小判を武器に通貨戦争を仕掛ける「金貨を延べる」は、経済小説としても秀逸である。 著者は、敵を倒す武将ではなく、無名
二度の世界大戦で敗れたドイツが、それでもヨーロッパの「頂点」に君臨し続ける本当の理由 佐藤優直伝・社会人のための「教養」講座 20世紀は「ドイツの時代」 今、日本では大学教育改革が話題になっています。文部科学省は、「人文系を軽視しているわけではない」と言いながら、ごく一部の超エリート校だけを文理両方を教える総合大学とし、あとは○○大学という名前だけ残して、事実上の専門学校として再編しようと考えているようです。 しかし、本当に人文系の知識は役に立たず、経済学や工学などの「実学」といわれる学問だけが重要なのでしょうか。この講座には「役に立つ教養」という言葉が入っています。今回は、国際社会の中で教養が果たす役割について考えてみましょう。 近現代史の第一人者である、イギリスの歴史家エリック・ホブズボームは、「20世紀はドイツの時代だ」と述べています。 ドイツは、19世紀末から後発の工業国として急速
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