タグ

ブックマーク / call-of-history.com (5)

  • 「信長の城」千田 嘉博 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    戦国時代の城で現存しているものは皆無である。なにせ四百年以上前の建築物だけに、遺構が残っているだけで貴重、多くは地中深く埋もれているか、その歳月によって跡形もなく破壊されて消え去っているものも少なくない。そこで、考古学的アプローチで城郭を調査研究することで、その姿を浮き彫りにしようとする城郭考古学という学問分野が発展してきた。書で、城郭考古学の第一人者である著者によって描かれるのは織田信長が拠点とした様々な城たちの姿である。 信長初期の城「勝幡城」「那古野城」「清須城」まず紹介されるのが信長出生の城、「勝幡城」である。信長の出生地としては勝幡城、那古野城、古渡城の三説があったが、近年、那古野城が織田家の支配下に入ったのが信長出生後ということが判り、那古野城とその奪取後に建てられた古渡城説が消え、勝幡城が信長出生地とされた。しかし、同城は江戸時代の治水工事によって城址の中心を日光川が貫き痕

    「信長の城」千田 嘉博 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 「日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか」小谷 賢 著

    太平洋戦争における日は通信を傍受され、暗号を解読され、偽情報に撹乱され、連合軍の兵力を見誤り、情報分析を疎かにして慢心と理想論とで作戦を立てて失敗を繰り返し・・・と情報戦で完敗したが、書は戦前日の情報活動はどのようなものだったのか、どこに問題があったのかを概観した一冊である。 基的な用語がおさえてあるのでインテリジェンス入門書として有用だ。生情報やデータが「インフォメーション」、「インフォメーション」を分析・加工した情報が「インテリジェンス」で、「インテリジェンスの質は、無数のデータから有益な情報を抽出、加工することによって政策決定サイドに『政策を企画・立案及び遂行するための知識』を提供することにある」(P7)。国益・国家戦略に基づく情報要求「リクワイアメント」が政策・作戦サイドから情報収集・分析(インテリジェンス)サイドに出され、これに対してインテリジェンスサイドは多様な情報を

    「日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか」小谷 賢 著
  • 「砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)」川北 稔 著

    1996年の発売以来売れ続けている世界史入門定番の一冊。砂糖の広がりを通じて様々な地域がつながりあい、ダイナミックに変化していくさまが平易なことばとわかりやすい解説で描かれており、世界史の面白さがこれ以上ないほどに詰まっているので、まぁ、読んでいる人の方が圧倒的に多いでしょうが、あらためて紹介しておこうという記事。 書とあわせて記事下に列挙した書籍を参考にしつつ、大まかな砂糖を巡る歴史を概観しておこう。 歴史上、砂糖は西漸しつつ世界に広がった。砂糖の原料であるサトウキビはムスリム商人によってイスラーム世界の拡大とともに西へ西へと伝播し、十字軍によって地中海世界へ、スペイン・ポルトガルによって大西洋諸島さらに新大陸南米へ、イギリスによってカリブ海諸島へと広がりを見せる。この拡大の過程で砂糖は「世界商品」として人びとの生活に欠かせないものとなっていく。 サトウキビ栽培と製糖の特徴として、第一

    「砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)」川北 稔 著
  • 「城郭の見方・調べ方ハンドブック」西ヶ谷 恭弘 編著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    お城巡りは楽しい。近世以降の現存する城や復原された城なども良いが、個人的には中世の遺構だけになっている城趾を訪れて、往時を偲ぶのが好みだ。 お城巡りは一過性のブームというよりは永続的な趣味として広く受け入れられている気がする。最近だと天空の城の異名が付けられた兵庫の竹田城が話題となっているし、映画化されてヒットした歴史小説「のぼうの城」の忍城、大河ドラマは例えば「八重の桜」では会津若松城(鶴ヶ城)、「軍師官兵衛」では三木城というように毎年のように城が描かれ、さらには「艦隊これくしょん」ブームから派生しての城郭の擬人化ゲームが次々とリリース(「御城プロジェクト」「城姫クエスト」など)されて、注目を集めている。 そんな城に関するコンパクトな入門書・概説書としてこのはおすすめだ。第一章で天守から屋根、装飾、櫓、御殿建築、門など建築全般を、第二章で城の石垣や縄張りなど土木の特徴を構造的に、第三章

    「城郭の見方・調べ方ハンドブック」西ヶ谷 恭弘 編著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 「戦国自衛隊」半村 良 著

    映画はもう子供のころから何度となく観ていたけれど、原作小説は読んだことがなかったという作品の一つだったのだが、ついに読んだ。やはり日SF黎明期を代表する一作で、1971年の発表直後からベストセラーとなり、戦国時代へ自衛隊がタイムスリップして大活躍というプロットは多くのフォロワーを生んで、歴史改変SF、架空戦記小説ブームの火付け役となった。軽い気持ちで読み始めたのだけど、実は適切な軍事考証、歴史考証がなされ、かつ、きちんとエンターテイメントの王道行くので凄く面白いのだ。 魅力の一つには軍事考証へのこだわりがある。映画だとさくっと一小隊がタイムスリップするのだが、小説ではタイムスリップに至る米軍・自衛隊合同演習に向けた各方面軍の展開が描かれ、主人公たちの部隊がどのようにタイムスリップの現場へ終結していくかが描写されている。この辺、ミリタリーファンにはたまらないのではないだろうか。 最初の出だ

    「戦国自衛隊」半村 良 著
  • 1