「あ、大宮が勝ってる」 え? 隣席の記者がつぶやいたのが聞こえたが、目の前のジェフ千葉は0−2で負けている。ジュビロ磐田が負けていてもさして状況は変わらない、と思っていたら……。 「あっ、うわ、入ったー」 青木良太のスライディングタックルのこぼれ球、谷澤達也が拾ってすぐに前線へ。DFの裏へ落とす典型的なダイレクトプレー、その縦パス1本に反応した新居辰基がフリーで抜けてシュート。FC東京のGK塩田仁史の手に当たったが、ボールが“頑張ってくれて”ゴールイン。この一発で、スタジアムの雰囲気が変わったように思えた。 「おいっ、ヴェルディは?」 「あ、負けてます。磐田もそのまま」 現金なもので、それまで気にもとめていなかった他会場の様子が心配になってくる。 先制の3分後に谷澤、その3分後にレイナウド! 85分谷澤、4−2だ。もうもらった。 「ヴェルディは?」 「もう終わるはずです」