子供の頃、合法に普段使いできる範囲なら鞭が最強なのでは!という謎のひらめきを得て、鞭を作ってペチンペチンいわせていた時期があった。 鞭といってもロープの先に重りをつけた程度のものだが。 水を入れたペットボトルや空き缶を的に、庭でひたすらペチペチと練習をした。ちょっと練習すると割と狙ったところに当てられるようになった。 鞭はなかなか強くて、切り返しが上手くいくと缶がへこむぐらいの威力は簡単に出る。 腕相撲で2学年下の女子に「えっ?増田くん本気?」とか言われながら負ける俺にとって、スチール缶をボコボコにできる高揚感はなかなかのものがあった。 だが、何かのマンガで学んだハズだ。『強い力を手にしたとしても、その力に溺れてはいけない。』 この力は弱きものを守るために振るうのだ。国語のノートに墨汁と筆で増田流鞭術の心構えを記した。乾く前に閉じたら染みまくって半分くらい残ってたノートがダメになった。 室