父は毎晩アルコール漬けになって暴れて、母を殴る蹴るするような人だった。 仕事も不まじめで借金があり、外には浮気相手もいたそうだ。 なんとベタな、と思われるかもしれないが、この点は疑いようのない事実だからしょうがない。 母は私と2人きりになればいつでも父の事を話した。 昨夜も暴れて大変だった、泥酔して部屋の中がめちゃくちゃになった、今度こそ警察を呼ぼうと思った。 母はいつも頭に十円玉くらいの禿げがあったし、時折顔や腕にアザが出来ていたから、幼心に父が本当に恐ろしいモンスターのようだと思っていた。 母の話の〆はいつもこうだ。 「お父さんが早く死ねば良いのに」 このセリフはもう何百回、何千回と聞いたと思う。 だから自然、私も父の死を望むようになった。 そして先日、本当に父が死んだ。 明け方、母からの電話でその事を知った。 聞いた瞬間、やったと思った。 これで遂に母の願いが叶った、母はもう今日から

