東京新聞の一面に、中島岳志が自著での橋下徹の批判の削除を求められ、拒否したという記事が、かなりでかく出ていた。削除を求めたのはNTT出版で、新潮社から出した『リベラル保守宣言』だという。 思わず私は苦笑せざるをえなかった。というのは、私はエッセイ集『猫を償うに猫をもってせよ』を白水社から出した時に、中島を批判した文を削除させられているからだ。 出版が最終段階に入った時、編集者から、上司が会いたいと言っていると連絡があった。こういう時の「上司が会いたい」は、いい話であるはずがない。わざわざ会って不快な話を聞くくらいならと、私は電話してその上司を呼び出し、構わないから言ってくれと言った。上司は(名前を忘れてしまった)中島岳志と中島さおりを批判した個所を削除してほしいと言ったのである。 不快ではあったが、編集者に迷惑をかけることにもなるし、どうせその二つは別のエッセイ集に入れればいいと思ったから