妻を病気で亡くした剛は、ひとり息子を連れて兄の透が住む韓国に渡ったが、早々に事業に失敗する。どん底に落ちた三人は、活路を求めてソウルから江原道(カンウォンド)へと向かう列車に飛び乗る。偶然そこで巡り合ったのは、同じように人生に行き詰った韓国の三兄妹だった。言葉が通じ合わないにもかかわらず、彼らは不思議な旅を共にすることに・・・。 『舟を編む』(13)で日本アカデミー賞監督賞を最年少で受賞、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)でアジア・フィルム・アワードのアジア最優秀監督賞を受賞し、若くして国内外の注目を集めてきた石井裕也監督。『町田くんの世界』(19)『生きちゃった』(20)『茜色に焼かれる』(21)など、自分の生きる社会や時代と格闘する意欲作を世に送り出してきた石井監督が、あらためて初心に返り、これまでの経験値に頼らずにオール韓国ロケを敢行した本作でさらなる新境地を開拓した。