『公研』2023年1月号「私の生き方」 俳優 長塚京三 とにかく日本ではないところへ行きたかった ──長塚さんの役者への道は、早稲田の演劇科から始まったのですか? 長塚 子供時代から活劇、西部劇とかたくさん見ていたから映画の勉強をしてみようと思って早稲田の演劇科に入った……と思うでしょ? 実はそうではないわけ(笑)。本当は別の大学の文学部に行こうと思っていたのだけれど、最後に受験した演劇科も合格したから、まともな文学部より面白いかなと思って決めました。けれど、入ったら全然アテが違うんだよね。映画のことを教えてくれる訳でも、演劇のことを教えてくれるのでもなかった。普通の文学部の勉強でしたから、がっかりしました。今と違って情報も少なく、リサーチ不足でもあった。だから結局一番のめり込んでしまったのがサークル活動としての学生劇団。僕はあまり演技はしなかったけれど、裏方が楽しかった。 19歳そこそこ