近年目まぐるしく変わる労働法制。水町勇一郎教授(東大社会科学研究所)は、2018年に成立した働き方改革関連法をはじめ、さまざまな労働法制改革に携わってきた。水町教授はどのようにして労働法に出会い、研究してきたのか。政策提言から見えてきた日本の労働政策の課題は。東大退職を前にして聞いた。(取材・撮影=中村潤) 理Ⅱからパートタイム研究へ ――理Ⅱ入学後、法学部へ進学しています 当時バイオテクノロジーが注目を集めていて、理学部や農学部で勉強しようと理Ⅱに入学しました。ただ、理系の勉強がよく分からなくて。理系で研究の道に進む場合、修士・博士課程で約5年はかかることも先が長く感じられました。 元々お金もうけよりは世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたので、理系の道じゃないとすれば、国家公務員になろうと思いました。そうすると、どうやら法学部が1番の近道らしい。進振り(現・進学選択)の点数も足りそう