大きな木をみるとつい触ってみたくなる。 手のひらを太い幹にあてて静かに目を閉じる。 そうするとなんだかパワーをもらえたような気がしてくるのだ。 長い年月のなかで風雨にさらされて木肌はひび割れ、 傷をつくっても、それでもなお太い根は 捕食するかのように大地を強靱にしばりあげている。 己の生存欲求をみたすがごとく貪欲に根をひろげ、 大地から水と栄養分を吸い上げ、まっすぐに伸びていく。 障害物があれば丸ごとそれをのみこみ、根をはる場所がなければ コンクリートでさえ強引にこじあけて根をはっていく。 そして、葉をどこまでも大きく広げて 太陽の光を一身に受けようとしている。 かつて訪れたカンボジアにあるタプロム遺跡はガジュマルの木が 遺跡そのものを食わんと巨大な口を開けているようだった。 かつての繁栄は朽ち、自然が宿す力に 人工物は何もできないということをまざまざと見せつけられた。 場所など関係なくど
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