道路建設で取り壊される予定だった静岡県沼津市の高尾山古墳について、同市の栗原裕康市長は6日の記者会見で「方針を白紙撤回する」と表明した。高尾山古墳は3世紀前半に築造された東日本最古で最大級の前方後方墳(全長約62メートル)。市は今後、古墳の現状保存と道路建設の両立を目指す。 市は5月に取り壊し方針を表明し、今年度補正予算に関連事業費5100万円を計上した。日本考古学協会は保存を求める会長声明を出し、市内では保存を求める3団体が設立された。 栗原市長は方針転換の理由について「報道と会長声明をきっかけに、全国から想定をはるかに上回る意見を頂いた。反省したい」と述べた。現状保存と道路建設を両立する具体策は、有識者でつくる協議会を9月に設置し、検討する。 日本考古学協会の篠原和大理事は「邪馬台国の時代の古墳。将来にわたり、歴史を正しく理解する上で現状保存は欠かせない。歓迎したい」と評価した。