ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 月曜日。零号デモの2週間前。 睡眠のおかげで、蓄積していた疲労を少しは減らすことができたようだった。ぼくは少なくともうわべだけでも人間らしさを取り戻したような気分で、エースシステムの開発室に入った。 入った途端に、何か違和感をおぼえた。その正体がすぐには分からなかったが、いつものようにライズの人たちとあいさつを交わしたときに判明した。リーダーの石川さんがいないのだ。 ――珍しく休みかな。 石川さんはライズのリーダーという立場からか、会社が徒歩で数分の場所にあることからか、毎日、真っ先に開発室に来ているのが常だ。休むときには、必ず前日に予告していた。 自分の席に座ると、先に来ていた東海林さんが、困惑した顔で言った。 「石川さん、しばらく来られないってさ」 「え?」 「インフルエンザ