ラッパー、ミュージシャン、作詞家のオノマトペ大臣に、編集部が指定した映画を観てもらい、評論家や専門家とは違った目線から生まれた言葉(コラム&ラップ)を紹介する企画「シネマ、ライムズ&ライフ」。第6回は中島哲也監督の『告白』です。 その晩も夜空には星が流れていた。梅田東通りには幾つもの居酒屋が立ち並び、夜6時を過ぎると、仕事を終えたサラリーマンで溢れかえる。そのうちの一軒、地下に潜る階段を進むと、響く騒がしい声。今日は会社の後輩が転勤となったので、社内の有志が集まり送別会が行われている。色々な話が飛び交う。ある者は昨晩のW杯の試合の話を、またある者は健康診断で引っかかった項目を。誰かの話が始まるたび、流れ星が一筋流れるように、薄暗い店内はパッと明るくなった。 夜9時、そろそろお開きという頃、転勤していく後輩と映画の話になった。「ところで、橋本君が一番好きな映画って何なの?」。彼は学生時代から