「戦時中」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。 昨今は、コロナ禍とその対応に関して過去の日本史上、特に戦時中のさまざまな失敗が比較されたり、あるいは戦中のモノクロ写真や映像が人工知能によりカラー化されて多くの人々の興味を引いたりと、歴史上の出来事に対して多様なアプローチが行われている。 そんな中でも、現代の大半の日本人が思い浮かべる「戦時中の光景」とは、やはり原子爆弾が落とされる光景や、何年かに一度放映されるアニメ『火垂るの墓』の一場面のようにB29が飛んできて日本中が焦土になる光景ではないだろうか。 しかしそれはあくまで、満州事変から数えて約15年、あるいは日中戦争から数えて約8年にわたった戦争の中での、終わりの約8ヵ月間の日本本土における光景、である。 通俗的な日本史上、白村江の戦いの影響で国防を強化し(戦前の教科書では敗北についてほとんど触れられなかったが)、あるいは