最低賃金の引き上げ額の目安が全国平均で14円と3年ぶりの2ケタ台となり、最適賃金の全国平均は763円になった。中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が7日に決定し、田村憲久厚労相に答申した。 最低賃金制は、経済学者にとって興味深い対象だ。もともと伝統的な経済学では、最低賃金制はそれより低くても労働しようとする雇用を減らしてしまうので、経済のためにならないといわれていた。 しかし、この考え方は労働市場を完全競争市場とみている点で致命的な誤りがある。最近では、最低賃金があった方が、労働者のインセンティブが高くなるので弊害が少ないという考え方もある。いずれにしても、これまでの実証研究の結果ではどちらが正しいのかはっきりしていない。これがミクロ的な経済学の現状である。 こうした点からみると、日本を含めて先進国に最低賃金制があるのは決して経済学的に不合理なことでない。例えば、米国は厚生労働