翁長雄志知事の死去にともなって実施される、9月30日投開票の沖縄県知事選。最大の争点は、基地問題である。ただ、そもそも沖縄や基地問題を語るとは、どういうことだろうか。その複雑さとは? 沖縄で生まれ育った文化人類学者の砂川秀樹氏が綴る。 沖縄について語るということ 2011年、私は21年間住んだ東京を離れ、故郷である沖縄に帰った。 それから5年間、再び東京に戻るまで、生まれ育った那覇市に住んだのだが、私は、次第に基地問題について発言する気持ちが無くなっていった。 いや、自分の正直な考えや複雑な気持ちを語ることが難しいと感じるようになっていったという方が正しいかもしれない。 沖縄で過ごした中高時代もそうだったが、山梨で過ごした大学時代も、東京に暮らしていたときも、私は、基地問題について発言することは厭わなかった。 テレビで沖縄の基地問題について放送されれば、いつも熱心に観入っていた。普天間基地