タワーが「ノーミュージックノーライフ」というキャッチを使い始めた当時のこと。 東京の片隅にある町のCD屋で、レコード磨いたり、レジ打ったり、検品発注品出し査定まとめてドン!な日々を送っていた私は、自分のこの生活もまた、ある意味音楽で飯をくうということであって…、ノーミュージックノーライフであるといえなくもないよねえ、なんて冗談みたいなことを思いつきで口にだし、同僚に鼻で笑われたことがあった。 「じゃあ、お前にとって音楽はどんだけのものなんだよ」 その同僚は、私より5つくらい年上の文学青年然とした人で、普段からそんな(相当青臭い(いまなら赤面しそうな))ことを、真顔で聞く人だった。そんで、同じく青かった私も、わりと真剣に答えを考えてみたのだけど、結局うまい答えを思い付くことはできなかった。 もちろん、音楽はわたしにとってとても大切な存在だったし、音楽のない生活なんて考えられなかった。けれど、