★Monthly Book Time Interview with Mori Tatsuya ドキュメンタリー映画の監督で作家の森達也さんは、放送禁止歌、オウム真理教、屠殺、死刑など、普通の人が避けて通るテーマに向き合ってきた。その彼が初の長編小説の題材として選んだのは、ジェノサイド=集団虐殺。狙いはどこにあるのか、益々過激さを増す森達也さんにお話をうかがった。 取材・文=鈴木理栄 写真=茂木一樹 ◇『東京スタンピード』 1680円(税込) 毎日新聞社刊 --今回の作品を書かれたきっかけを教えてください。 森 関東大震災の後に大規模な朝鮮人虐殺があったことは知られています。このとき千葉県の福田村(現野田市)で「福田村事件」(※)という惨殺事件がありました。言葉のアクセントやイントネーションが地元民とは違うことを理由に、香川県から来た被差別部落の行商の一行15人のうち女子供も含めて9人が、村