あと数時間ほどで誕生日だ。 ひとりぐらしの、大した友人もいない人間の孤独な誕生日。冷蔵庫にビールがあるが、それをこれから開けるかどうか迷うほどには家事がたまっているし、明日の仕事のことを憂鬱に思っているし、なんとなく弾いたギターは相変わらず下手くそで、何もないのに叫びたいような気持ちに苛まれている。 23歳になる。 わたしが幼少の頃思い浮かべていた大人になったわたしは、果たしてこんな姿だったろうか。 いっそ今日の日付を超える直前に死んだら楽しいかもななどと考えながら、自分にはそんなことができるような勇気がないのを知っている。だからビールを飲む。だからこんな文章を書く。だから、こんなよくわからない時間によくわからずに泣いて、明日の仕事のことをまた考える。 あと少しで23歳になる。