利用客はどう受け止めているのか。東京都渋谷区の会社員、藤井百合子さん(35)は月1回程度、長距離バスを利用してボランティアに向かう。「交通費は抑えたいが、(値上げは)事故を減らすための保険代と考えている」と話す。 業界内部へも余波を与える。かさむ人件費やデジタル式運行記録導入などツアー会社からのさらなる安全対策の求めに応じ切れず撤退するバス会社の姿が目立ち始めた。 国土交通省によると、これまでの監査などで、ツアーバス事業を手がけたことがあるという349社のうち、118社がすでに事業を行っておらず撤退していることが判明した。国交省は「規制強化が少なからず影響しているとみられる」とする。業者の増便困難 新基準は利用客が増える夏休みの繁忙期の安全確保を見越し導入されたが、相次ぐ撤退で運行するバス会社を確保できず、今年は増便できない業者も多い。 ツアー会社「日本ユース旅行」(名古屋市)。例年ならば