芸に身をささげたレジェンドたちの生き様を描き続けるノンフィクションライターの田崎健太氏が、「いま、どうしても話が聞きたい」と会いに行ったのが、浪花のモーツアルトと呼ばれるキダ・タロー氏だ。ほとんど記録に残されてこなかった氏の数奇な人生を振り返るインタビュー。その中編をお届けする――。 米軍クラブとキダ・タロー 俳優・藤岡琢也の自伝『今夜はジャズで』には、高校時代の同級生であるキダ・タローと一緒に組んだバンドの編成は、〈バイオリン2、クラリネット1、ギター1、アコーディオン1、ピアノ1〉であったと書かれている。 これをキダに確認すると、「記憶ないなぁ」と首を傾げた。 「ピアノは(先輩で関西学院大学の)キタガワという男やから、来たり、来ひいんかったり。参加したという印象はほとんどない。バイオリンは2って書いてありますか? そうですか……。藤岡が書いているんならば、そうなんちゃいますか」 藤岡は
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