長野出身というだけで、これまで幾度となくされてきた質問。 「虫、食べるんだよね?」 そんな誤解のみで、かつてある週刊誌の仕事で、コオロギやらアリ、漢方用のゴキブリなんかを食べさせられたこともあるのだが、断じて言う。 大きな誤解です。 伊那のように、「ざざむし」「蜂の子」の缶詰などが産業として有名なまちはあるが、長野の人がみんな虫を食べているわけではない。 とはいえ、「イナゴ」はちょっと別。 子供の頃は、フツウに食卓にイナゴの佃煮がのる家など珍しくなかった。実際、我が家でも食べるのは父だけとはいえ、毎年家で作っていた。きゃらぶきや、貝の佃煮にも似た甘辛い味付けで、あの「見た目」だけクリアできれば、かなり美味いとよく父にすすめられたものだ。 とはいえ、時折、「あ、足がのどにひっかかった」などと苦い顔をする父を見ると、どうにもその「見た目」がクリアできない。 ただし、私たち「イナゴ食べない派」に