今年は後藤明生論をずっとやっていて後藤ばかり読んでいたので、候補がそもそも少ない。とはいえわりとあったので、カテゴリごとに五冊程度ずつ挙げた。 日本文学 ひょうすべの国 植民人喰い条約 作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/12/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る刊行された単著全部を追っている現役の作家二人のうちの一人。『水晶内制度』とおんたこシリーズをつなぐ連作短篇をまとめたもの。ひょうすべとは「表現の自由がすべて」の略で、差別の自由、少女との性行為の自由、暴力の自由などをとなえ、加害の当事者にありながら自らを抑圧された被害者の側におく言説構造を徹底してグロテスクに描き出す。近作はTPPによる「自由化」による薬価高騰へのおそれが、自身の膠原病とダイレクトにリンクし、薬を買えなくなって死ぬ老婆が描かれたりしており、日常を暮らす