ブックマーク / closetothewall.hatenablog.com (18)

  • 2016年読んでいた本 - Close To The Wall

    今年は後藤明生論をずっとやっていて後藤ばかり読んでいたので、候補がそもそも少ない。とはいえわりとあったので、カテゴリごとに五冊程度ずつ挙げた。 日文学 ひょうすべの国 植民人喰い条約 作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/12/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る刊行された単著全部を追っている現役の作家二人のうちの一人。『水晶内制度』とおんたこシリーズをつなぐ連作短篇をまとめたもの。ひょうすべとは「表現の自由がすべて」の略で、差別の自由、少女との性行為の自由、暴力の自由などをとなえ、加害の当事者にありながら自らを抑圧された被害者の側におく言説構造を徹底してグロテスクに描き出す。近作はTPPによる「自由化」による薬価高騰へのおそれが、自身の膠原病とダイレクトにリンクし、薬を買えなくなって死ぬ老婆が描かれたりしており、日常を暮らす

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  • 2016年見ていたアニメ2 - Close To The Wall

    字数制限で引っかかった昨日に引き続き、後半。 2016夏 ●アンジュ・ヴィエルジュ 夏アニメベストの作品。第一話から尺の半分以上が風呂シーンという萌えエロ美少女系作品と思わせて、自分と他人のすれ違いを丹念にかつ正面から描いたピュアなお話を展開するダークホース。それでいてラストには放課後のプレアデスオマージュとしか思えぬ言葉まであって驚いた。いや、一話、ステラの飛行にエンジン音鳴ってたとき、プレアデスかよって感じた人多いと思うけど、あれほんとにプレアデスだったんじゃ、という。あの台詞回しはプレアデスだ思うのは我田引水過ぎるだろうか。元々スマホゲーだったものらしく、原作だとプレイヤー=αドライバーが男という設定だったものを女性にかえたことで、作品世界が濃密な百合空間に変貌し、それでいて仲間が敵側につく「闇落ち」という仕掛けは、くすぶっていた内心を吐露する音でのぶつかり合いを展開するための鍵に

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  • 2016年に見ていたアニメ1 - Close To The Wall

    年末のアニメ感想。今年はクールごとにまとめた。だいたいクールごと好きな順から並んでいるけれども、上位以外はそんなにちゃんと決めていない。良いと思ったものと、当該クールでどうかと思ったもの一作を取り上げるという感じ。四万字を越えてしまった。さすがに長すぎる。見ながら適宜メモったものやツイッターで書いたことを編集してたら、やたら長くなってしまった。ショートもの除いて70作品くらい。 2016冬 ●この素晴らしい世界に祝福を! 今期トップクラスに面白かった。異世界転生ものというウェブ小説で流行しているジャンルの初アニメ化作品ではあるらしいけれど、冒頭から「トラック転生」という、トラックにひかれて異世界に転生という定型シーケンスを捻ったトラクター転生――トラクターなので誰かが轢かれそうになったわけでもなく、また自分が轢かれたわけではなく、心理的なショックで死亡――という無茶な展開で構成する、ジャン

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  • 伊福部昭 - 協奏三題 - Close To The Wall

    伊福部昭/協奏三題~伊福部昭 作者: 井上道義=東京交響楽団発売日: 1991/12/25メディア: CD クリック: 16回この商品を含むブログを見る*1 このアルバムと言うよりは「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」がすごい。伊福部関連のページとかを見ていると、よく名前の出てくる曲で気になっていたのだけど、私が最初に聞いたのはナクソスの日作曲家選輯のものだった。 このナクソスのシリーズ、私は伊福部曲が入っているものしか聴いていないけれど、ほとんど例外的に伊福部盤の評判が悪く、素人耳に聞いてもタプカーラなどに今ひとつ迫力がなかった(遅い)。それでリトミカ・オスティナータも聞いたのだけれど、なにやら面白い曲だとは思ったものの、いまひとつというか何とももどかしい感じがしてならなかった。 ためしに検索してみたらニコ動に別演奏が上げられていた。これを聞いてみたのだけど、これがビック

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  • 第十五回文学フリマで「幻視社 第六号」を出します - Close To The Wall

    2012年11月18日「第十五回文学フリマ」に幻視社で参加します。 今回は『液体/体液』号ということで、創作三を掲載。メインの特集は早川書房の〈想像力の文学〉シリーズです。全作レビューと担当編集様へのインタビューを敢行しております。また、前号でわりに好評だという噂の〈東欧の想像力〉追補篇と、向井豊昭未発表作品の掲載も続けています。計108ページで、小説と評論が半々の配分になっています。「液体/体液」テーマが小説以外にあまり関わらない感じになってしまいました。 参加者には岡和田晃、渡邊利道とSF評論賞受賞者が二人もいますよ! 幻視社第6号 表紙 by ゾウノセ on pixiv以下目次 小 説 液体循環装置のゲロ 佐伯 僚 臨海電車      渡邊 利道 アレルギーテスト  エンドケイプ 特 集 〈想像力の文学〉を読む 巻頭言 スリップ・ストリーム・ルネッサンスへ向けて 岡和田 晃 〈想像

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  • 2010-11-27 - Close to the Wall

    グアルディア 上 作者: 仁木稔出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/04/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (24件) を見るもう三週間前になってしまうけれど。さる11月7日に小説家仁木稔、聞き手に批評家の岡和田晃を迎え、SF乱学講座「世界を動かした驚異の疑似科学」が行われました。岡和田さんが乱学講座にかかわるのは二回目で、前回の件は私も前半部の要旨を記事にまとめてあります。 SF乱学講座 岡和田晃 - 「「ナラトロジー」×「ルドロジー」――新たな角度からSFを考える」 - Close to the Wall 今回は「グアルディア」をはじめとする「HISTORIA」と呼ばれるシリーズを書いている仁木稔さんを迎えての企画です。私は参加していないのですけれど、SF大会などで岡和田さんは何度か仁木稔作品を扱った企画を立てていて、その一連の流れの

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  • 2009年聴いた音楽まとめ的な。 - Close To The Wall

    年をまたいでしまったけれどようやく書き終わった。まとめといいつつ、紹介したもの以上にまだ紹介してないものについての文章が多い。去年と比べてもさらに長い。このままではどんどん年末の作業が増えていくばかりだ。 で、今年聴いたプレイリストをざっと見直してみたところ、重複等を考えずに単純に数えて約7000曲ほどにもなっていたのには、自分でもビックリした。バカじゃなかろうか。 どういう風に構成するのか迷ったのだけれど、とりあえず以下のようにジャンル分けしてみた。カテゴリの水準が個々に違っているけれど、そう言うものだと思って欲しい。 長すぎるので続きを読む、で。 邦楽 Zabadak 平行世界 アーティスト: ZABADAK出版社/メーカー: GARGOYLE RECORDS発売日: 2009/02/15メディア: CD購入: 4人 クリック: 26回この商品を含むブログ (15件) を見る初リアルタ

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  • Genesis - Calling All Stations - Close To The Wall

    コーリング・オール・ステーションズ アーティスト: ジェネシス出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 1997/09/18メディア: CD クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見るさて、これはジェネシスの97年リリースのラストアルバム。このブログでプログレ五大バンドのアルバムを取り上げるのは初めてなのだけれども、それがよりにもよってこれというのが妙な成り行きだ。 いまさらながら一応おさらいすると、ジェネシスは元々ピーター・ガブリエルをヴォーカルとしてデビューしたバンドで、英国の怪奇な雰囲気を色濃く湛えたサウンド、それとガブリエルの個性的なライブパフォーマンスや歌唱が魅力で、また、トニー・バンクスのキーボードワークはいわゆる「シンフォニック・ロック」のひとつのモデルとなって、多くのフォロワーを生んだし、スティーヴ・ハケットのギターサウンドもまた然り。日ではプ

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  • The Finlay MacDonald Band - Pressed For Time - Close To The Wall

    Pressed for Time アーティスト: Finlay MacDonald出版社/メーカー: Foot Stompin発売日: 2003/11/24メディア: CD購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見るスコットランドのバグパイプ奏者フィンレイ・マクドナルド率いるバンドの、2003年リリース作。セルフタイトルの1stをリリースしたのをきっかけにそのままバンドを結成し、その後バンド名義の二枚CDがあるので通算で三枚目になる。 旧:k-waves LAB blog(更新終了): 久々の大当たり。 このバンドはそれまでまったく知らなかったのだけれど、ニコ動のFF11や東方のアイリッシュアレンジで知られるKou Ogataさんのブログの記事で絶賛されているのを見て、それなら、と買ってみた。 編成はバグパイプ(ハイランドパイプ、というものらしい)のフィンレイ・マク

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  • Hostsonaten - Springsong - Close To The Wall

    Springsong アーティスト: Hostsonaten出版社/メーカー: Sublime発売日: 2003/01/01メディア: CD クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見るFabio Zuffantiというイタリアのプログレミュージシャンによるプロジェクトホストソナテンの2000年リリース作。春の歌、という題名通り、今作は春をテーマとしたインストゥルメンタル作品で、Seson Cycle Suiteという四部作のパート4。ただリリース順では第一作となる。四作を通して四季を描くらしく、2008年に冬の「Winterthrough」がリリースされ、秋の「Autumnsymphony」が一部で既に入手できるようだ。 プログレとはいえ、基はフォークなインストで、ドラムやベース、ギター、ムーグメロトロンなどもあるけれど、主要なメロディを奏でるのはフルートやヴァイオリン、サ

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  • Hevia - Tierra de nadie - Close To The Wall

    Tierra de Nadie アーティスト: Hevia,Toli Morilla,Marco Rasa,Rodney d'Assis,Tao Gutierrez,Villaviciosa Pipe Band,Angel Crespo,Candi Avello,Ismael Tom s,Mari Luz Crist bal Caunedo,Javier Monforte,Juan Carlos Mendoza,Peter Bulla,Cristian Constantini,David Pena Dorantes出版社/メーカー: Emi Argentina発売日: 1999/06/09メディア: CD クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るスパニッシュケルトその三ということで、スペインのバグパイプ奏者、エヴィアの1stアルバム、1999年リリース。バグパイプというより、

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    camelletgo 2009/09/01
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  • Solas - The Words That Remain - Close To The Wall

    The Words That Remain アーティスト: SOLAS出版社/メーカー: Shanachie発売日: 1998/10/20メディア: CD クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を見るところ変わってこれはアメリカのアイリッシュバンド、ソーラスの3rdアルバム、1998年リリース。アイルランド系のアメリカ人によってニューヨークで結成されたというこのバンド、ところどころにドラムやエレクトリックベースを導入しつつも、基はアコースティックなケルティックサウンドでありつつ、アメリカの都会派ならではということなのか、絶妙なバランス感覚でポップさとトラッド臭さを兼ね備えているところがとても面白い。 特に秀逸なのが冒頭のヴォーカル曲で、印象的なリフレインにケルト系とは異質なメロディの歌がばっちりはまっていて、一聴して名曲だと感嘆させられる。 映像でもないものかと探してみたら、上

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    camelletgo 2009/09/01
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  • Luar Na Lubre - Plenilunio - Close To The Wall

    Plenilunio アーティスト: Luar Na Lubre出版社/メーカー: Wea Spain発売日: 1997/12/22メディア: CD購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るケルトシリーズ続いてはスペインのバンド。スペインといっても北西部ガリシア地方のバンドで、ここもケルト文化圏として知られている。ガリシアという語も、そもそもが古代に住んでいたケルト民族を指す言葉だったという。 このルアル・ナ・ルブレはそんなガリシアン・ケルトの代表的な存在で、80年代から活動してすでにアルバムは十枚を超えている。今作は1997年リリースのおそらく四枚目。 彼らを特に有名にしたのは、Mike Oldfieldが一曲カバーしたからで、その結果、ワーナーというメジャーレーベルから国際展開することができたとのこと。その曲というのが、このアルバム冒頭の「O son do a

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  • Lunasa - The Merry Sisters Of Fate - Close To The Wall

    LUNASA アーティスト: LUNASA出版社/メーカー: THE MERRY SISTERS OF F発売日: 2017/06/16メディア: CD クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る前にボシーバンドを紹介したけれど、現在ケルト音楽界でボシーの再来とまで言われているバンドがこのルナサ。現代アイリッシュトラッドのなかでは、かなり人気のあるグループらしく、とりあえずルナサを聴いておけばOKとか。 メンバーもそれぞれがこれまで様々なバンドで活躍してた人物が集まっていて、アイリッシュミュージック界のスーパーバンドとも言われている。楽器編成がやや変わっていて、フィドル、フルート、ギター、パイプとここまでは普通だけれど、このジャンルでは珍しくベースがいて、ギターとともに堅実なリズム隊を構成している。 このアルバムは2001年リリースのサードアルバム。叙情的な曲から躍動感あふれ

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  • Marillion - Marbles - Close To The Wall

    Marbles アーティスト: Marillion出版社/メーカー: Racket発売日: 2008/10/28メディア: CD クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見る2004年リリースの二枚組アルバム。anoraknophobiaに続いてリリースされた今作はマリリオン史上初の二枚組スタジオ盤となった。上記Amazonリンクは市場販売用の一枚もののバージョン。二枚組の物はバンド公式さいとからのみ入手できる。参考記事 marillion.com | Racket Records Store 今作では合間にアルバムタイトルを冠した小曲をいくつか挾んで、コンセプチュアルに構成されているけれど、「Brave」のような一続きの物語や、コンセプトアルバム然とした緊密な構成ではなく、緩やかな繋がりの中であわく全体像を浮かび上がらせようとする試みのように感じられる。 オルタナ路線に転換し

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  • ユリイカ 特集・諸星大二郎 - Close To The Wall

    ユリイカ2009年3月号 特集=諸星大二郎 作者: 巖谷國士,夏目房之介,春日武彦,竹熊健太郎,円城塔出版社/メーカー: 青土社発売日: 2009/02/27メディア: ムック購入: 5人 クリック: 45回この商品を含むブログ (42件) を見る諸星は妖怪ハンターはじめ少しずつ読んでいたけれど、代表作の「西遊妖猿伝」をまだ読んでいなかった。折よく新装版が店頭に並んでいるのを見て、よしこれを揃えていこうと買って読み始めたところ、これがやはり面白く、次巻の刊行予定日はいつかと調べて見たところ、なんとユリイカの諸星特集が出るのを知る。へえ、と思っていたら伊藤剛のブログで中身についての詳細が出ており、伊藤氏も書いていることを知る。早速買って読んでみた。 「ユリイカ」2009年3月号 特集*諸星大二郎 - 伊藤剛のトカトントニズム なんというか最近私が読んだユリイカはミク特集(ソワカちゃんネタを話

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  • 一噌幸弘・しらせ - よしのぼり - Close To The Wall

    よしのぼり : しらせ (一噌幸弘) | HMV&BOOKS online - TOHYOHYO003 一噌幸弘によるアコースティックグループ、しらせのセカンドアルバム、2008年リリース。前作よりも二人メンバーを増やし、さらなるアンサンブルの厚みを得てのスタジオ盤リリース。増えたのは、能管・篠笛の山田路子と、チェロの村中俊之。山田氏は一噌幸弘の弟子らしい新進の演奏家。 1.メトリエ チェロのイントロから雪崩れ込むようにスタートするメインテーマが素晴らしい。ドラマティックでシリアスなメロディから始まって、怒濤のアンサンブルをこれでもかと叩きつける凄まじい展開。ソロは控えめに、緊密な構成とメロディの魅力で長尺を聴かせ切る。個人的に、これほど素晴らしいインストはそうはない、というレベルの楽曲で、間違いなく名曲。 2.ヤマカガシ 前曲よりもややテンポは落とした物の、それでも高速なパッセージが出現

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  • 一噌幸弘・しらせ - ふ、ふ、ふ、 - Close To The Wall

    ふ、ふ、ふ、 : しらせ (一噌幸弘) | HMV&BOOKS online - TOHYOHYO001 日のアコースティックグループ、しらせの1stアルバムにしてライブ録音、2006年リリース。 去年末に2008年のベストだと紹介したけれど、もう一度。 編成は以下のようになっていて、和洋折衷の多国籍グループながら、出てくる音は非常に日的な叙情性が見られ、タブラやヴァイオリンの響きもとても自然に馴染んでいる。リーダーは代々続く一噌流の能楽師で、能管、篠笛の演奏に西洋の演奏テクニックを導入し、ジャンルを超えた活躍を続けるミュージシャンだ。また、ヴァイオリンの壷井彰久はヴァイオリンフロントのプログレバンドKBB、鬼怒無月と組んだアコースティックデュオEra等から、光田康典作品や志方あきこ作品などにも参加するなど、ヴァイオリンの生演奏が欲しいときにはこの人、的に引っ張りだこな奏者。また、タブ

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