宇宙誕生の謎に迫る素粒子物理学の壮大な実験施設の構想が進んでいる。日米欧などが目指す次世代加速器「国際リニアコライダー」(ILC)計画だ。建設地は日本が最も有力で、今夏に国内候補地が決まり誘致が本格化する。物理学に革命を起こすノーベル賞級の発見が日本で実現する期待が高まっている。(草下健夫、黒田悠希) 物質の根源を探る素粒子物理学で昨年7月、歴史的な大発見があった。すべての物質に質量(重さ)を与える「ヒッグス粒子」とみられる新粒子が、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究所(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で見つかったのだ。 ヒッグス粒子は、素粒子の基本法則である「標準理論」で存在が予言されながら唯一、未確認だった“最後の粒子”。来月にも発見が確定すればノーベル賞の受賞は間違いない。 しかし、素粒子の探究はこれで終わりではない。実は宇宙を構成する物質のうち、人類