ある会社の最終出勤日、社長がわたしを自宅まで車で送ってくれたことがあった。自分が送り出されるときを考えてみると、手厚くしてもらった経験がよみがえる一方、残業でタクシー帰宅が続いたこと、展示会で数日間立ちっぱなしで辛かったこと――など嫌な記憶は薄れている。辞めるときには会社都合と自己都合があるわけだが、いずれにせよきちんと送り出してもらえると辞めた側も気持ちがよいし、実は送り出す会社側にとっても大きなメリットがあるのだ。 以前、会社を転職する場合の心得を書いた。今回は送り出す側のこと。わたしは会社を退職したことが何度かある。外資系IT企業はたいてい3年周期くらいで会社の面子の大半が入れ替わる。製品の流行り廃りも激しく、ほかの企業からの引き抜きやリストラも頻繁(ひんぱん)に行われる業界で、専門のヘッドハンターもいる。ほかの業界や、特に日本の大企業の人にとっては感覚的に分かりづらいかもしれないが
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