自分で本を出版したという経緯もあり、他の著書を批評することには慎重になるべきだと考えている。しかし、『人新世の「資本論」』には、違和感を抱いたのみならず、その資本主義批判とマルクス主義礼賛の間のバランスが過度に崩れていて、これからの世界を担う若い人たちの価値判断を、極端な方向にミスリードする危険性を感じた。だから、所感を述べたい。 まず、この本は、一言で言えば、現代の世界における様々な問題点の中から「地球温暖化」と「富の偏在」という2つの問題を主に取り上げて「資本主義」をその犯人として非難し、「マルクス主義」に今後の答えを見出そうとしている。 「地球温暖化」の主因が本当に炭素排出なのかという科学的疑問は無視して炭素を地球温暖化の「犯人」という前提で論を進め、「資本主義」が果たしてきた貢献面にはほとんど目を向けずその負の側面のみに目を向けて、資本主義を地球温暖化と富の偏在の「犯人」と断定して
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