何の話かと言うと 量子計算の説明で必ず出てくるのが、 といったヘソマーク を用いた積(テンソル積)です。テンソル積の定義にはいくつかの方法(流派?)があり、個人的には、双対空間を用いた多重線型写像として定義するのがいちばんスッキリするのですが、数学的な厳密性にこだわらない方むけには、いまいち抽象的すぎて、遠回りな説明に感じられるかも知れません。 そこでここでは、一番ベタな「数ベクトル」による、基底を用いた定義を使って、テンソル積を説明してみます。 1階のテンソル 量子計算の話を念頭に置いて、2次元の複素ベクトル空間で話を進めます。まずは、2個の複素数を縦にならべた「縦ベクトル」を考えます。 一般には、これは、「複素数ベクトル」と呼ばれるものですが、ここでは、これに「1階のテンソル」という別名を与えます。 また、これを転置して横に数字を並べて、さらに、各成分の複素共役をとったものを考えます。