私の受け持ちの生徒で、軽度の知的障害を持つタケオという生徒がいました。大柄なタケオは動作が緩慢でぎこちなく(間接の可動域が小さい)、言葉を発する前にいつも2~3秒の間延びがあります。容姿にも特徴がある。何らかの障害があるだろうとは4月当初から思っていたものの、前担任からそういった引き継ぎが何もなかったため、診断がついていないまま今に至るのだろう、と私は思っていました。 ところが夏休みが明けてまもなくの頃、児童相談所から電話がかかってきます。 授業が終わって教科準備室に戻ってきた私に、同僚が怪訝な顔をして「さっきやなぎ丸さんあてに児童相談所から電話があったよ。S原さんっていう女性の方だったけど・・・」と教えてくれました。 児童相談所とは穏やかではない。生徒に虐待か何かあったのだろうか。私はその電話番号が確かに児童相談所のものであることを確かめ、すぐに折り返しの電話をかけました。 S原さんはタ