暴力の日本史 (ちくま文庫) 作者: 南條範夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/05/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 南條範夫という人については、月影兵庫シリーズの原作者というぐらいの認識しかなかったが、東京帝大卒のエリートで、満鉄調査部を経て戦後は経済学者として活躍、東京の都市計画などにも関わったらしい。それが途中から、時代物のベストセラー作家に転身したという、異色の経歴だ。 それを頭に入れて読むと、この本が当初出版された1970年当時の時代状況とも重なって、為政者の側の、「民衆」や「抵抗」に対するニヒルな感覚が色濃く示されているような読み物になっている。その描写には、サディズム的な要素もうかがわれる。 だが、僕が読んでいて一番印象的だったのは、江戸時代の一揆の多さと激しさである。 ふつう、日本の歴史でもっとも一揆の多かった時代は室町時代(戦国末期にかけて)