イベリア半島南部の上部旧石器時代個体のゲノムデータを報告した研究(Villalba-Mouco et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、昨年(2022年)開催された人間進化研究ヨーロッパ協会第12回総会で、すでに概要が公表されていました(関連記事)。この研究は、ヨーロッパの上部旧石器時代から新石器時代までの狩猟採集民のゲノムデータを報告した最近の研究(関連記事)とともに、これまで不明なところが多かった最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)前後のヨーロッパの人口史のより詳しい解明に貢献している点で、たいへん注目されます。 ●要約 人口集団は、その遺伝的差異に永続的で劇的な影響を及ぼした最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)に範囲が縮小しました。LGM後のマグダレニ