かつて荷宮和子が2ちゃんねるを批判した際、2chでは「貧乏人」という罵り言葉がない、ねらーがみな貧乏人だからだとした。半分くらいは当たっているが、むしろ徹底的にないのは「卑怯者」という罵り言葉だろう。そりゃそうだ、みんな匿名でガチャガチャ言っているのだから。 さて、『人でなしの経済理論』の訳者・山形浩生によるあとがきに、日本の反禁煙の言論は全般的に知性が低い、と書いてある。で、具体的にどれがどう、と言わないのがまさに「卑怯」なのだが、おそらく山形は「戦略」のことを言っているのだろう。そんな真正面からファシズムだと騒いでもダメだよ、戦略を樹てろよ、ということだ。 しかし、この本に書いてあるようなトレードオフ理論を禁煙、嫌煙派に示して説得することは、ほぼ不可能だろう。 「戦略」という言葉は、2000年前後に宮台真司がよく使っていたが、それは要するに宮台の本が売れる戦略でしかなく、売春防止法の見