彼女に別れを切り出した。 彼女が将来に抱く理想と、僕の理想は逆を向いていて 結婚は無理だと思ったから。 僕の理想を話した、彼女は理解できないと言った。 彼女は、彼女自身より結局理想の方が大事なのねと言った。 僕は、僕自身が大事なんだと言った。 彼女は、自分の理想が崩れていくことを想像し、絶望しパニックになった。 「死にたい」と言った。怖いくらい目が虚ろだった。 僕は、喫茶店を飛び出し夜の住宅街を上ばかり見上げて歩く彼女の後を追った。 彼女は、10階建てほどのマンションを見上げて止まると、非常階段に向かって歩いていった。 とっさに彼女の腕をつかみ、何をしようとしているのか問いただした。 馬鹿なことは考えないでくれと言った。 僕を人殺しにして一生後悔させたいのかと言った。 両親が悲しむぞと言った。 これから親孝行したいんだろと言った。 まだ先があるじゃないかと言った。 でも、決してやりなおそう