やや手前味噌になるが、お許しいただきたい。筆者が編集・発行人を務める「インサイドライン」(6月25日号)に財務省の勝栄二郎事務次官(1975年、旧大蔵省入省)が退任の意向を固めたと書いた。1カ月前のことだ。 その後、一部メディアは、消費税10%に道筋をつけた最大の功労者である勝氏が、来年1月まで続投する公算が大きくなったと報じた。 だが、9月8日に会期末を迎える今国会終了後、同氏はほぼ間違いなく退任するはずだ。後継事務次官に真砂靖主計局長(78年)が昇格、同期の木下康司国際局長が主計局長に転出し、香川俊介官房長(79年)は留任する。 もちろん、次官退任の判断は勝氏自身によるものだ。が、氏の背中を押した人物がいたのである。 その人物とは、旧大蔵省退官後、日本たばこ(JT)初代社長、東京証券取引所理事長、国家公安委員会委員を歴任した長岡實元大蔵事務次官(47年)である。一時期、健康を害